駐在生活のトラブル-携帯電話の盗難被害  

トラブル

海外駐在生活で見舞われるトラブルの1つが犯罪に巻き込まれること。これまで、駐在生活以外にも、海外旅行を含めると、3度ほど警察のお世話になった。生活の大部分を送る首都マニラの自宅及び職場周辺では、それほど治安の不安を感じていなかったが、事件に巻き込まれることに…。

窃盗犯は少年

フィリピンでの駐在生活も折り返しを過ぎ、生活にも慣れてきた頃、週末のスポーツをして帰宅するというルーティンで事件は発生。

運動でひと汗かいた後、ショーツの左ポケットに仕事の携帯、右ポケットに財布、ショーツのインナーポケットに私用の携帯をそれぞれ入れて体育館を後に。

いつもの帰り道。特に変わった様子はなかった。週末ということもあり、平日と比較すれば人通りは少ないが、時折、歩行者とすれ違うほか、通りには車の交通量もそこそこ。

自宅までの歩みを進めていると、前方から13-15歳くらいだろうか、1人の少年がこちらに向かって歩いて来た。その時は、特に注意を払わなかったが、5メートルくらいの距離に接近してきた際、物乞いをするように、左手を差し出してきた。即座に首を横に振り取り合わなかった。

すると、すれ違いざまの距離になった瞬間、その左手を胸に突き出してきて、再度、お金を要求してきたので、「NO」と毅然と言い放ち、そのまま歩き続ける。

すると、少年は方向を変え、後からついてきた。視線の先にはもう1人別の少年。グルかどうかは不明だったが、1人ならともかく、2人になれば自己防衛のシナリオも変わってくる。

そんな思いを巡らせていると、後からついてきた少年がタックルをかまし始める。あまりのしつこさに「NO」と連呼しながら歩き続けたが、その間もタックルは続いた。フィリピンで未成年の物乞いに遭遇することはこれまでにもあったが、身体的な接触を伴うことはなかった。

少し不気味に感じていたが、数回のタックルの後、少年は向きを変え、走り去っていった。この時、既に左ポケットに入れた携帯電話が盗まれていたが、そのことに全く気が付かなかった。

窃盗の認知から被害届まで

帰宅後、シャワーを浴び、運動の疲れから倒れ込むようにそのまま就寝。翌朝、職場に向かう際に、携帯電話がないことにようやく気が付く。

しかし、朝の切羽詰まった時間、前日の少年との出来事を思い出せず、携帯電話を部屋のどこかに置き忘れているのかもしれないと、そのまま出勤。

月曜日は、ハウスキーピングが入る日なので、担当者に携帯が見つからない旨を伝え、室内で探してもらうように依頼。しかし、彼女も携帯電話を見つけることができなかった。

ようやく、前日に起きたこととのつじつまが合い、携帯電話が盗まれたことが確定。職場の安全管理担当者に連絡。携帯電話はすでに追跡不可能な状況になっていることから、窃盗の被害に遭った、という結論に至った。

勤務先から持たされていた携帯電話だったため、報告義務が発生し、その際に、警察からの被害届レポートが必要となる。

事件現場を担当する派出所のような場所に出向かなければならないが、各派出所の担当エリアの境界線のような場所で、どの派出所に行くべきなのか、職場の安全担当者も特定できなかった。

日が開けた火曜日、仕事を抜け出して手続きに向かえばよかったが、この日のうちに終わらせたい仕事があった上、マッサージの予約も入れていたので、すべての用事が済んでから、派出所に向かう。

フィリピンでパトカーに乗車

まず、自宅近くの派出所に出向き、事情を説明。すると、事件現場は別の派出所の管轄なので、そちらで被害届を出すように命じられる。

別の派出所まで誘導を申し出てくれたが、徒歩で来たため、そのオファーは受けられず。あいにく、夕方のラッシュ時刻の為、タクシーもなかなか来ないことが分かり、25分ほどかけて別の派出所へ。この距離を歩いている間に、また盗難被害に遭うのではなにかと、少しトラウマが残っていた。

この日は、少し気温が柔らいだおかげで、30分近く歩いてもそれほど汗をかかずに到着。派出所の前では、日勤と夜勤の交代業務の引継ぎのような業務が行われていた。従って、建物の中に入っても、警察官が誰一人いない。

しばらく、その業務が終わるまで、室内で待機。

ようやく1人の警察官が対応してくれ、被害の状況を説明。この時点ですでに2日ほどの時間が経過していたので、被害届を受理してもらえるか不透明だったが、時間の経過よりも問題となったのが、携帯電話の機種。

職場から持たされた携帯電話の機種など覚えてもいない。iPhoneならともかくサムスンとなれば、なおさらモデルまで精通していない。

機種が分からなければ被害届は受け付けられないと一蹴される。この日は、一旦、撤収して、明日、職場で機種を確認してから出直すか。

私用の携帯には職場の同僚の連絡先はほとんど入っていない。唯一、直属の上司と、すでに退職をした元同僚の連絡先があったので、電話をしてみるが繋がらない。埒が明かず、そのまま待ちぼうけ。

すでにオフィスは閉まっているので同僚と連絡が取れないと警察官に説明。待っている間に書類に記入するよう指示され、被害届のフォーマットのようなものに氏名、住所、事件の詳細などを記入。

その間に、元同僚から折り返し電話があり、職場の安全管理担当者及び、携帯電話を管理している同僚の電話番号を教えてもらう。それぞれに連絡はついたものの、2人ともオフィスを後にしており、携帯電話の機種までは特定できず。

万事休すと思いきや、機種の確認に奔走していた誠意を汲み取ってもらえたのか、機種名がなくてもOKということになり、そのまま警察の被害届のレポートが完成。これで一件落着と思いきや、捜査官とともに現場検証に向かうという。

正直、携帯電話が戻って来ることは期待していないし、職場で指示されたように、警察からの被害届のレポートが発行されれば、それで十分なのだ。

しかし、捜査官が到着するまで待機するよう命じられ、その到着とともに、パトカーに乗せられ、事件現場へ。ニュースやドラマで見るような、鑑識を含めた現場検証でもするのかと思いきや、パトカーで現場を通過。その際、事件現場となった場所の位置を指さしたら、それで完了。

続いて、監視カメラの映像チェック。残念ながら、犯行現場は監視カメラの死角となっており、犯人の特定はできず。事件前後に、付近を歩く、自分自身の姿だけが記録に残っていた。

警察署で被害届の完成待ち

派出所で対応するのはここまでのようで、その後、警察署に連れて行かれ、残りの手続きはこの署内で対応するという。

何を待っているのか不明な待ち時間が過ぎ、夜勤の捜査官が到着し、聞き取りが始まる。すると、先ほど書いた同じフォーマットの被害届を再び書くように命じられる。

すでに記入済と伝えると、派出所の警察官が書類を持って行ってしまったので、もう1度書くように命じられる。

書面を書き上げて、警察官に提出。それに基づき、警察官が被害届のレポートを作成。派出所でのレポートから、防犯カメラの映像に関する記述が追記された。

この1枚のレポートを受け取るころには、時刻は午後11時30分を回っていた。予想以上の時間を要したが、無事に警察での手続きも完了。

クリスマスシーズンが近づくにつれて、窃盗を始め、犯罪の発生率が高まる傾向のあるフィリピン。駐在生活に慣れているとはいえ、常に細心の注意が必要であることに改めて気づかされる。

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