海外駐在生活で最も辛い事の1つが病気にかかること。ちょっとした風邪でも、海外に住んでいるせいなのか、回復までにいつも以上に時間を要することがしばし。
マニラの温暖な気候ゆえ、病気への警戒感が緩まった頃、体調を崩してしまい、結局2週間もの間、病欠することになった話を紹介する。
微熱がすべての始まり
これまでにも、海外海外駐在時に病気かかったことはしばし。その都度、回復力が異国の地ではなかなか本来の姿を発揮してくれないことを痛感してきた。
ベネズエラとコロンビアでの病気に関する記事はこちら。
フィリピン・マニラでウィルス性の風邪が流行しているというメッセージが職場で共有され、希望者はワクチン接種も可能と案内を受けていた。
しかし、日本が厳しい寒さに見舞われる冬の時期も、マニラは半袖1枚で過ごせる気候。常に夏の気分でいるせいか、冬の風物詩ともいえるインフルエンザの流行などとは程遠い世界と思っていた。
マニラの生活にも少しずつ慣れてきた頃、週明けの月曜日にオフィスに向かう。午前中は、通常通り仕事に取り組めたものの、午後から体が少し変調をきたし、頭痛と倦怠感に襲われる。

帰宅後、念のため体温を計測すると、37度超え。この時点では単なる風邪くらいと思い、数日のうちに治るだろうと楽観的だった。
翌日も同程度の微熱だったため、仕事は休み、自宅で療養。日本から持参した風邪薬を服用し、安静に過ごす。
水曜日、少し体は軽くなり、熱も下がったが、念のためこの日は在宅で仕事に取り組む。上司には翌日からオフィスに戻る旨を伝え、承諾を得る。
しかし、事態は思い通りに進まなかった。
木曜日、朝起きると、前夜は治まっていたいた熱が再発。しかも、微熱レベルではないことは明らかなくらい、体温の高まりを起床時に感じ取る。
体温計が示した数字は39度近く。これはどうにもならない。上司に連絡して、病欠を伝える。
ほぼ1日中、安静にして過ごす。10代の頃のように睡眠にふける。薬を服用していたとはいえ、まだこんなにも長時間眠れることに自分自身でも驚き。
体は休ませているものの、症状は一向に改善せず。結局、金曜日も仕事を休む羽目に。翌週には出張の予定が入っていたので、同僚と少しだけメールのやり取りをした以外はベッドで過ごす。
フィリピンで初めての医療機関受診

木曜、金曜日と2日間、フルで休んだのに快方に向かう兆しもなく、週末を迎える。朝、目が覚めても、まだ回復していないことは瞬時に察しがついた。
職場の健康管理の担当者と連絡を取り、医療機関を受診することに。大きな総合病院を提案されたが、とても広い院内をうろうろできる体力がない。代替え案として、自宅近くのモール内のクリニックへ。
病にかかって思うことは、病院に来たからと言って症状が劇的に改善するわけではないということ。むしろ、体が弱ってる際の外出にエネルギーを奪われ、症状が悪化するリスクさえある。
自宅からクリニックまでは地図上では近いのだが、近すぎてタクシーで向かう距離ではない。しかし、ショッピングモールの中にあるため、その入り口まで遠回りする必要があり、クリニックに到着するまでに相当の体力を使い果たす。

クリニックに到着し、受付で症状と、医師による診断希望を伝える。すると、番号札を渡され、体温と血圧を測るように指示される。担当してくれた看護師の方は、日本びいきのせいか、とても親身に対応してくれ、クリニックでの受診の流れを丁寧に説明してくれた。
体温と血圧のデータが書かれたカルテのような紙を医師の部屋の前のレターボックスに入れてしばし待機。
フィリピンあるある、どこもエアコンが効きすぎて寒いのを見越して、上着を持ってきておいて正解だった。予約なしの受診なので、数時間待つことも覚悟したが、30分もしないうちに名前が呼ばれる。
診察してくれた女医さんは、ほぼネイティブの英語話者だったので、症状と懸念事項を伝え、スムーズに診察が進む。フィリピンの公用語の1つが英語であることに感謝。
医師は、高熱が数日続いていることから、季節性のウィルス感染に加え、デング熱のリスクもあるということで、血液検査を受けるように手配。検査結果が1時間くらいで出るので、その後に、診察室に戻って来るように指示される。
検査室の前に移動して、名前が呼ばれるのを待つ。ほどなく採血が終了。
設備の整ったクリニックとは言え、結果が出るまでここで1時間も待つのは苦痛。一旦、帰宅。40分ほどベッドで横になる。通院しただけなのに、どっと疲れが押し寄せ、アラームがなければ起きられなかったくらい、深い眠りに就いていた。
再びクリニックへ。朝一で来たときよりも明らかに患者の数が増えている。ここからどれだけの待ち時間があるのだろうか。カルテを医師のレターボックスに入れてしばし待機。30分もしないうちに再び名前が呼ばれる。

血液検査の結果をさえない表情で見る女医。血小板の数値が下がっているのが気にかかるということで、デング熱の場合、ここからさらに数値が下がる可能性もあるという。ということで、翌日、再びクリニックで採血検査をするように指示される。
この日はこれで終了。診断と血液検査で3,550ペソ=約1万円。フィリピンの労働者の給与水準を考慮すれば、決して安くはないが、驚くほどの高額な医療費の値段というわけでもない。利用したクリニックはクレジットカード払いが可能だった。
さて帰宅だ。医師の診断を受けたからと言って体の状態がよくなるわけではなく、むしろ通院の疲労が押し寄せる。
翌日、体の調子が少しでも良くなっていることを期待したが、症状は全く変わらず。医師の指摘のように、デング熱を疑いながら再びクリニックへ。
クリニックの受診方法はすでに精通していたので、スムーズに受付を済ませて医師の診断へ。前日の医師とは異なる方が担当してくれ、再び血液検査へ。
数値は前日より改善もなく悪化もなく。おそらくデング熱の可能性は低いという結論に至る。ウィルス感染のための薬を処方される。

フィリピンで薬を処方してもらったからといって、劇的に快方に向かう気配はなく、この日のうちに翌週の出張のキャンセルを同僚に伝える。
薬の効果なし、治まらない咳、結核?
出張に出向けそうにはないが、クリニックで処方してもらった薬が効いて、何とかオフィスに戻れるかと淡い期待を抱いたものの、症状は全く改善せず。週明けの月曜日も病欠。
微熱と高熱を繰り返す状態が続き、咳が治まらない上、息苦しさまで感じ始める。これはもはやただのウィルス性の風邪ではなく、もっと深刻な病に罹患しているのではないかという不安が芽生える。
真っ先に思い浮かんだのが結核-フィリピンは世界保健機関(WHO)が定める結核高負担国ということもあり、そのリスクを軽視すべきではない。
すでに1週間寝込んだ状態も重なり、思考そのものもネガティブな方向へ傾く。
勤務先の健康管理の担当者にも相談し、別のクリニックで医師の診察を受けることに。幸い、自宅から少し離れた距離にあったので、タクシーを利用。歩かないで済むのがありがたい。
健康管理の担当者も付き添ってくれ、医師の診察を受ける。症状を伝え、胸部のレントゲンを撮ることを相談したが、症状からおそらく結核の疑いは低いという判断。
念のため血液検査を実施。結果はオンラインでチェックできるという便利さ。医師は、翌日は休診日なので、2日後にクリニックを再訪するように指示される。
しかし、クリニックの受付では、この指示とは異なり、血液検査の結果をダウンロードして翌日クリニックを訪れるようにと告げられる。病の中、頭もよく働いていない。
どちらの言うことを信じればよいのか不明だったが、ひとまず藁にも縋る思いで、早く回復するように、受付の職員の指示に従い、翌日もクリニックへ。
すると、昨日担当した医師は休診日なので明日、出直すように言われる。このセリフを言っているのは、前日に対応してくれた受付の職員。
「今日、クリニックに来いと言ったのは誰だ!」と、怒る気力が湧き上がるどころか、一気に疲れが押し寄せる。そのままタクシーで帰宅。
病を機にフードデリバリーを初利用

すでに10日ほどの療養生活で、冷蔵庫の中の食料も尽きかけてきたので、デリバリーでフルーツなどを注文。
同僚はデリバリーは便利でよく利用するというが、個人的には生鮮食品は自分の目で鮮度と質をチェックしたいので、フィリピンで利用したことはこれまで一度もなかった。
しかし、今は病の身。そんなことは言ってられない。配車アプリ「Grab」のデリバリーサービスを利用して体に効くであろう、フルーツとネギ、ショウガを注文。届いた品は、店舗では選ばないだろう、しなびた感じのする品だったが、致し方ない。
ビタミンCを補給してベッドで休む。
翌朝目を覚ますと、フルールとショウガの効果なのか、症状がかなり改善しているのを実感。体温を計測すると、ようやく平熱に戻った。
ここで無理は禁物なので、この日も病欠をして、クリニックへ。医師に診察を受ける。週末もゆっくり休んで、症状がぶり返さなければ翌週から職場に戻ってよいだろうとのお墨付きを頂く。
病欠のための診断書を書いてもらい、クリニックを後に。
結局、トータルで2週間も病欠する羽目になった、フィリピンで初めて罹った病。
医療機関を利用してみて、2つ目のクリニックの受付の職員以外は問題なく、受診の流れも受付番号を取得して、番号が呼ばれたら診察あるいは検査という流れが明確で、スムーズに受診することができた。
その上、医師や看護師は流暢な英語を話す方が大半で、コミュニケーションも全く問題なし。病の最中に言葉のストレスを抱えないで済んだのは助かった。


