サンティアゴ巡礼 Day23 ポルト モウガス ~ ア ラマジョーサ(16.0㎞)

サンティアゴ巡礼

スペインに突入したサンティアゴ巡礼。ポルトガル第2の都市ポルトで休息日を設けてから5日間が経ったので、これまでのペースではここでもう1度、オフの日を取りたいところ。

しかし、海沿いの町は、夏のバカンスシーズンも重なり、ホテルの宿泊代金がかなり割高。おまけに、キッチンの付いている民泊の選択肢は少なく、休息日を設けずに巡礼を継続。

アイスマスクと耳栓で久しぶりの熟睡

ここ数日は、巡礼宿のドミトリーで熟睡できない日々が続いていた。ポルト モウガスの巡礼宿は、6人部屋にスペイン人のおじさん・カルロスと2人。先に眠りについたカルロスは、睡眠時無呼吸症候群なのか?息をしていないと思いきや、突然、嘔吐のような「ゲボッ」と大きな音を立てて、再び呼吸のリズムが整えられる。この音に睡眠を妨害されてたまるものか。

次の目的地のア ラマジョーサまでは 16km ほどの距離。気候も日中でも熱中症の懸念が生じるほどではなくなってきているので、早朝にスタートする必要はないだろう。よって、目覚ましが聞えづらくなったとしても、カルロスのいびきから防音するため、耳栓と夜10時を過ぎても光が部屋に差し込んでいたので、アイマスクも着用して就寝したら、久しぶりに夜中に目が覚めることなく、8時間ぐっすりと眠ることができ、体もすっきり。

巡礼宿で提供された朝ごはん

前日にチェックインした際に頂いた朝食のスナックセットからフルーツを頂きコーヒーと朝食を済ませる。キッチン・冷蔵庫がない巡礼宿だったので、簡単な食事。

この日の歩く所要時間は3-4時間ほどと見積もり、ホテルのチェックインは午後2時以降ということで、逆算して午前8時過ぎに出発。

上り坂だらけの巡礼路

灯台が遠くに見える巡礼路

宿を後にしてからはしばらく海沿いの道なり。前日にスーパーに買い出しに来たので既知の順路。空模様は雲1つない快晴だが、山から太陽が昇っておらず、まだ涼しく感じられる気温。

時折、海沿いの一般道から海の近くの道へと誘導されるが、これが案外遠回りになって疲れる。そうこうしているうちに今度は山の方へと巡礼路が伸び、おまけに見上げるほどの坂の勾配。「まじか…」思わずため息が漏れる。

上り坂が続く巡礼路

海沿いの平坦なコースが3時間ほど続くとの予想が見事に裏切られ、数日続いていた右足のふくらはぎの肉離れのような症状は治まった代わりに、今度は外側の脛が痛む。左足の踵は治る気配もなく痛いまま。万全のコンディションで歩けないのは残念だが、他の巡礼者の方も、膝にサポーターを巻いたり、足のマメに苦しめられたりと、みんな体に鞭を打ちながら巡礼の旅を続けているのだ。

展望スポットで休憩

山を越えるように再び一般道に戻ると再び上り坂。ここまでの道のりにローカルな雰囲気のカフェはなく、休憩を取らずに2時間半ほど歩いていたので、展望スポットのベンチで一休み。

同じ部屋に泊まっていたカルロスがおすすめしてくれたバイヨーナ(Baiona) の街まで残りの距離は 1.5 ㎞ ほど。今日の昼ご飯はその街で食べよう。前日は美味しい食事にありつけなかったので、事前にグーグルでリサーチをして目星を付けて置く。

レストランは12時か12時30分オープンの店がほとんどなので、早く着いても仕方ない。よってこの展望台でストレッチ、栄養補給、少しばかり寝て体を回復させる。目を覚ますと、同じ場所で休憩していた、競歩のようなスピードで歩くデンマーク人の女性の姿はすでになく。

上って来た分だけ海まで下っていく道なり。眼下にはバイヨーナの街並みが広がる。ヨットハーバーがあり、リトルモナコのような雰囲気と言ったら大袈裟か。

スペイン人お勧めランチは外れ

街の中心ではお祭り

街の広場まで辿り着くと、何やらお祭りの前兆。3メートル近い高さの人形に、楽器を携えた人々。これは何かが始まりそう。近くにいた地元の人に尋ねると、音楽を奏でながら、この人形が街を駆け巡るようだ。

トランペットの音が鳴り響いたのを合図に、建物の中から次々と人形が現れ歓声が上がる。人形の一行は、街の中心地を闊歩していき、盛り上がりがピークを迎える。

レストランのオープンまで少し時間があったので、そのまま人形たちが去った広場のベンチで休憩。

バイヨーナのレストランが集中するのはヴェントゥラ・ミサ(Ventura Mis)通り。スペイン語で通りは「Calle」だが、ここではガルシア語の「Rúa」と表記されている。ガルシア語はポルトガル語により近い。

これまでの巡礼の旅で、シーフードはイカ・タコを食してきたので、この日はガルシアの名物料理の1つであるホタテをいただこう。

前菜のコロッケ

目星を付けたレストランは、オープン開始直後でお客さんはほとんどいない。スペインでは午後1時過ぎから客が入り出し、2時くらいに混雑のピークを迎える印象。

待つのは嫌いなので、空いているうちにさっさと食事を済ませよう。

前菜のコロッケは、ブロッコリーとタコのクリーム味。敷かれた葉物野菜の鮮度がイマイチ。

ブロッコリーもタコもいずれも味はそれほどせず、揚げ物だがあっさりとした味わい。前菜としてはこんなものか。続いてメインのホタテが運ばれてくる。

ガルシア料理名物のホタテ

サンティアゴ巡礼者が携帯する目印ともなっているホタテの貝殻は、この地の名物。ガーリックの香りが当たりに漂う。しかし、味付けはそれほどパンチはなく、素材そのものを活かす感じ。少々期待値が高かったせいか、感動する美味しさではなかった。パン、ワインも入れてランチは25.4ユーロ(=4,150円) 10ユーロ前後でデキャンタのワインまで飲めていたポルトガルのランチが懐かしい。

世紀を架ける橋

歴史情緒漂うラマジョーサ橋

ランチの量は軽めだったのに、食後は体が重い。日差しも照り付け、気温は25度ほどだが、汗ばんで来た。街の端にも雰囲気の良さそなローカルなレストランがいくつかあり、ランチメニューもリーズナブルな価格で提供しており、グーグルのレビューに頼らず、観光地の中心を避けて、ここで食事をすべきだったと後悔。

巡礼宿まで残り500mの地点に姿を見せたのはラマジョーサ橋。歴史情緒を漂うわせる雰囲気は圧巻。それもそはず、橋が架けられたのは13世紀まで遡り、文字通り何世紀という歳月の時間をかけてきたのだ。

その上、まだ現役の橋で、車両の通行はできないが、歩行者はこの橋を渡って対岸に移動することができる。歴史のロマンに駆り立てられ、疲れた体が一瞬、活力に満たされる。

巡礼宿Pazo Píasの外観

橋を渡り切り先に進むと、この日の宿 Albergue-Hospedería Pazo Pías に到着。事前に予約を入れ、シングルルーム25ユーロ(=約4,250円) しかし、そんなリーズナブルな部屋が存在するのか疑問を抱くような佇まい。


17世紀に教会として建てられた建物は、世紀を跨いで今な現役の宿として活用され、施設内の植物も手入れが行き届いており、実に美しい。

巡礼宿のスタンプ

この日も巡礼宿のチェックインには多くの人たち。前日にポルトガルからスペインへと移動するボートで一緒だったグループや、スペイン人の姉妹2人など、巡礼旅もここまで来ると互いに顔なじみになる。

受付は1人しかいなかったので、予約していたが結局チェックイン手続きまで30分近く待たされることに。

シングルルーム

部屋はベッドと机、洗面台のみで、トイレは共有。しかし、トイレの数は1フロアの部屋数に対して十分な数。スペインでこの値段でシングルルームはお値打ちかもしれない。

部屋の窓からの眺め

大きな部屋の窓からは緑の眺めが広がる。思わず、鏡開きの窓を開けて、その新鮮な空気を取り込みながら窓からの景色を味わう。

シングルルームで他の巡礼者の物音やいびきを気にせず、この日も熟睡できることを願おう。シャワー、洗濯のルーティーンを済ませ、部屋で少し休憩。

カナリア諸島バナナは高嶺の花

日が傾き気温が下がってきたので外へ。この日は、体の疲労度はかなり蓄積されていたが、歩いてきた距離は 20㎞ にも満たないので、少し街歩き。とはいえ、この歴史的な橋以外はあまり見所はなさそうな雰囲気。

カフェでケーキでも食べようと思ったが、入店したところはコーヒーのみでスイーツなし。こじんまりとした近くのショッピングモールに向かうもスイーツが購入できそうなパン屋はなし。

スイーツはあきらめて早めの夕食にしよう。宿の近くのバーでタパスを頂く。ガルシア名物のタコと、フレンチフライのガーリックソース。

ガルシア地方名物のタコ料理

タコは輪切りされ、オリーブオイルとパプリカのスパイスのみの味付けだが、新鮮なタコが醸し出せる味わいにワインが進む。フレンチフライは外れなし。店も混んでいなかったので揚げたてが運ばれてきた。

タパスとは言え、一皿一皿のサイズは小皿というより、メインの一品といってもいいくらい。パンは無料で合計17.5ユーロ。ランチより遥かに満足。やはり、観光地の中心よりローカルに限る。

フード運が上向いてきたのか、近くのスーパーに立ち寄ると、スイスのリンツチョコレートがセールで2ユーロ(=約340円)これまでは猛暑のせいで、溶けてしまうチョコレートを持ち運ぶことができなかったが、ここ数日は最高気温も25度前後とチョコレートを携帯できる気温ということで、巡礼のモチベーションを上げるアイテムとして購入。

カフェで食べられなかったスイーツのリベンジにチョコレートムースを食後のデザートとして頂く。

カナリア諸島産のバナナ

翌日の道中の栄養補給としてバナナをカゴに入れてお会計。思っていたより値段が高く、最初はリンツのチョコレートがスーパーの会員のみに適応されるのかとも疑ったが、犯人はこのバナナだった。

安くて栄養満点な上、簡単に食べられるバナナは巡礼のベストフレンド。しかし、このスーパーで販売されていたバナナはエクアドルなど南米産ではなく、スペインのカナリア諸島から“輸入” されたバナナで、3本で1.95ユーロ(=約340円)と、高級バナナだったというオチ。

カナリア諸島産のバナナは高嶺の花だったが、値段も産地も気にせずに、ベストフレンドと信じていつものように何も考えずに買い物カゴに入れてしまったことが引き起こした事態。

カナリア諸島のバナナを食べる機会もそうそうにないので、これもリンツのチョコレートと並んでご褒美ということにしよう。

前日の宿で同じ部屋だったカルロスも、この日も同じ巡礼宿に宿泊すると言っていたが、敷地が広いせいか見かけることはなく。

日が長いスペインの夜を部屋の大きな窓からの眺めを楽しみながら過ごして就寝。

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