フィリピン駐在の生活の立ち上げが進み、オフィスでの仕事にも少しずつ慣れていく。着任した当初は、どこも同じ景色に見えたマニラ・マカティ市のオフィス街の第一印象は、スターバックスの店舗の多さ。石を投げればスタバに当たるのではないかと思うくらい、オフィスビルのテナントとしてあちらこちらで目にする。
スタバのコーヒーはステイタス
かれこれ数十年前、高校生の頃に日本にスタバ上陸した際、大してコーヒーの味などわからない10代の学生だったが、スタバでドリンクを飲むことが、どこか別の世界に引き上げられているような感覚を味わえた。
まだ現在ほど世界的に認知のなかったスタバのシンボルマークの入った紙袋を使い回したり、小さいトートバッグをわざわざ購入して持ち歩いていたほど。
世界的なコーヒーチェーンに成長した現在、その特別感は薄れてきてはいるが、フィリピン人にとってスタバはステイタスの一種の模様。
勤務先のオフィスにはデロンギのコーヒーメーカーがあり、出勤後、コーヒーが抽出されるの待っている横を、スタバのカップを手に持ったフィリピン人の同僚が通り過ぎていく。
オフィスでコーヒーを飲めば無料なのに、わざわざスタバで買ってくる。職場のコーヒーも悪くはないと話しかけると、スタバのコーヒーカップを持って闊歩することに意味があるようだ。その姿は、かつての高校生の自分自身の姿を思い出させられた。
ショートサイズなし、カスタマイズは割高
もはやスタバに心ときめくことはないが、サードプレイスのように、時折利用することはある。フィリピンのスタバデビューは様々な気づきを与えてくれた経験になった。
まずは、ショートサイズがない!注文をする際、レジにディスプレイされたカップは、明らかにトールサイズから。ショートサイズを尋ねると、トールサイズからのみというではないか。フィリンピンの消費行動を観察すると、アメリカ統治下の影響からか、容量が大きいのがよしとされる傾向が見受けられる。
せっかくわざわざスタバに行くのだから、ショートサイズのようなものはフィリンピンでは受け入れられないゆえ、展開がないのかもしれない。

ドリップコーヒーより、少し手の込んだものを注文しようとフラットホワイト、牛乳をオーツミルクへと変更を依頼。イギリスなどの国では、牛乳の種類を変更しても料金はかからないが、フィリンピンは別。
フラットホワイト180ペソ(=約475円)に対し、牛乳の変更料として追加で60ペソ(=約160円)カスタマイズが本体のフラットホワイトの料金の3分の1に達し、ドリンクそのものも500円を超えてしまうという悲劇に見舞われる。
極寒の店内、長居に上着は必須
これだけスタバの数があれば、時にはスタバで読書やパソコンでの作業をして過ごすことはフィリンピンでも可能。
しかし、注意点としては店内の冷房設定温度。よほど基礎体温が高くない限り耐えられない極寒。店内で長居しようものなら、羽織るものはマスト。
凍えそうなくらいの室温に冷えた体をコーヒーで暖める傍らで、半袖でキンキンに冷えた室内の空間に快適さを感じているフィリピン人。体は冷えるけれど、スタバに入る前に購入した要冷蔵の食材も、この室温ならしばらくは傷みそうにない。
石を投げればスタバに当たりそうなマニラでは、日本のように店内が混雑していて空いている席を見つけるのも一苦労ということはあまりない。時には、ランチタイムにどの飲食店も行列ができてしまっているときには、手早くランチを切り上げるのにスタバは便利な存在。
店舗の数が多いゆえに生み出される、大混雑とは無縁のスタバ店内は、マニラのスタバならではの特権なのかもしれない。
