ベネズエラで迎える誕生日ーカラカスの山頂でお祝い

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いくつになっても年に一度は巡ってくる誕生日。ベネズエラ人の誕生日を祝う情熱は半端ない。一番驚かされたのは、ハッピーバースデーソング。これは世界共通かと思いや、ベネズエラバージョンには、これまで聞いたことがない、第一章ともいえる部分が存在する。一瞬、なにかのポップソングかと思いや、しばらくして曲調が盛り上がりを見せて、一瞬の間の後、例のハッピーバースデーソングが続く。時間にして2,3分。ケーキに灯されたロウソクの蝋がどんどん溶けていく…。

ベネズエラの職場では毎週とはいかなくても月に数回は、誰かの誕生日を祝うことになる。日本で働いていたときは職場で誕生日を祝う習慣はなかったし、そもそも同僚や上司の誕生日すら把握していなかった。さすがに、職場で大々的に祝ってもらうのは照れ臭いので、遠慮していると、近しい同僚から、代替案として、少人数でのお祝いを提案される。せっかくなので、カラカスのアビラ国立公園の山頂でお祝いすることに。

ケーブルカーの外国人料金は3倍

カラカス中心部から見上げるアビラ国立公園の頂上

カラカスの中心部から見上げると、山頂にHUMBOLDTホテルがそびえ立つ姿が目に入る。角度や距離感にもよるが、少なくとも街の中心部からは、ケーブルカーの姿を目にすることはできず、同僚から招待を受けるまで、その存在を知らなかった。

ケーブルカーのチケット売り場

ケーブルカーのチケット売り場を待ち合わせ場所にして、同僚を待つ。ワッツアップのグループで、いつ頃到着するのか、どこに駐車すべきか等々、チェットが繰り広げられる。

ほぼ約束通りの時間に到着すると、すでに1人の同僚の姿が。ケーブルカーのチケットを購入して、入り口の内部で待機している。合流すべくチケット売り場の列に並ぶ。

順番待ちの間に、他の客がケーブルカーの値段について問い合わせしているのが聞えてくる。

料金は大人10ドル、子供5ドル、安くはないが驚くほどの料金ではない。少し安堵していると、外国人は30ドル!という情報が耳に伝わる。地元料金との差額3倍。しかも日本円に換算すると5,000円近い。これはなかなかの出費。

チケット売り場で身分証明書を提示。これはベネズエラ政府が外国人用に発行する一種のIDカード。口頭で出身国を尋ねられたので、日本と返答。そのままその回答が登録され、30ドルが飛んでいくと思い来や、請求されたのは10ドル。ベネズエラ在住の外国人には、ベネズエラ政府が発行する正規の身分証があれば、地元の大人料金が適用される模様。

想像以上の高度 

ゴンドラの乗り場

残り2人の同僚も合流して、山頂へ向けていざゴンドラへ。

なにかとゆるーい南米の雰囲気が漂うベネズエラだが、ゴンドラ乗り場は整然と順番待ちの列が形成されている。次々にロープウェイを上昇していくゴンドラ。

なかにはVIP用の車両も存在している。いざゴンドラへ乗り込む。一般用は定員6人。

ゴンドラのロープウェイ

ゴンドラに乗車後、どんどんと上昇する高度。ロープウェイの駅が瞬く間に小さくなっていき、視界の先には、大都会・カラカスの姿が広がる。このロープウェイは1955年に開通し、70年の歴史を誇るそうだ。

これほどの規模の都市のすぐそばに広がる山々。自然が身近に感じられるのがカラカスの素晴らしいポイント。

途中から気圧の変化を耳が感じるほど高度があがっていく。想像以上の高さ。それもそのはず2000メートルを超える標高。1-2分であっという間に頂上までという感じではなく、ゴンドラからの景色を存分に楽しませてくれるくらいの十分な乗車時間。

頂上にそびえ立つホテルでランチ

アビラ国立公園頂上に立つHUMBOLDTホテル

ロープウェイが頂上にたどりつくと、そこには地上からは想像できない、展望スポットが広がっており、露店を中心に賑わっている。なかには登山で山の頂上までたどり着いたとみられるグループが休憩を取る姿も。

山頂で何をするのか理解していなかったが、どうやらホテル内でお祝いとして昼食を食べるようだ。地上から毎日見上げ続けてきたホテル内部に入れるには興味がそそられる。

宿泊客以外でも、レストラン利用の際は、ホテルの敷地内に立ち入ることが許可されている模様。

レストランはイタリアンとアジア料理の2店舗、アジア料理がそれほど好みではない同僚がいるので、イタリアンレストランへ。

反楕円の大きな窓からの光に照らされるレストラン

目に飛び込んで来た反楕円の大きな窓。そこからの自然光でレストラン内に明るさがもたらされている。天井の高さも相まって、開放された空間でゆっくりと食事を楽しめそう。

ホテルのレストランとは言え、パスタやリゾットは14~19米ドル(2,000~3,000円)ほど。決して安くはないが、ロケーションを考慮すれば、驚くような値段ではない。 

前日にパスタを食べたので、海老のアヒージョを注文。写真を撮り忘れたが、文字通り海老!満天のアヒージョ。付け合わせを頼むべきだった。おかげで、ひたすらニンニクの効いた海老を次から次へと口に運ぶ。一体いつ海老がなくなるのだろうかと途中、気分が萎えそうになったが無事に完食。

ここで、誕生日のサプライズケーキが出てくるのかと思いきや、そういうことはなく、昼食を済ませて終了。

山頂の反対側にはオーシャンビューが広がる

昼食後は、ホテルの敷地内を少し散歩。カラカスの街が広がる反対側の景色はオーシャンビュー。少し雲がかかっていたが、それでも水平線まで視界が広がる。

ホテルを後にしてから、山頂の露店を物色。雲が少し晴れてきたので、山頂からの景色を楽しみにながら、ホットチョコレートを頂く。

こうして、ベネズエラで誕生日を迎え、気の合う同僚に祝ってもらえるのは、人生で最初で最後になるかもしれない。そういう意味では、素晴らしい時間を一緒に過ごすことができ大満足。

日が傾き始めると、山頂の気温はいち早く下がっていき、肌寒さを感じるほどに。

山を下りる際は、ケーブルカー乗り場には長蛇の列。30分近く順番待ちをしてようやく下山。どんどんと近づいてくるカラカスの街並みに、現実の世界に引き戻される。

楽しい時間はあっという間に過ぎ、明日からまたいつも通りにの仕事がはじまる。

あまり、派手に誕生日を祝うのは個人的には好みではないということで、少人数で出かけたのでが、狭い職場の世界。小さなグループとは言え、誕生日を祝ったことが知れ渡り、週明けには結局、職場でもケーキが準備され、あのベネズエラ特有の長~い長~いハッピーバースデーソングを聞きながら、お祝いされてしまったというオチ。

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