病欠も大変!ベネズエラで診断書にありつくまでの苦労 

ベネズエラ

これまで細々としたトラブルは発生したものの、健康面では順調に過ごせていたベネズエラ生活に、ついに試練が訪れた。突如、高熱に襲われ、デング熱を疑うような症状が発症。仕事どころではなくなったが、病欠を申請するには医師の診断書が必要ということで、ベネズエラ生活で初めて病院に駆け込むことに。医師の診断書1枚を手にするまでの苦労話。

突然の高熱に目の奥の痛み、デング熱?

半年以上を過ぎたベネズエラ生活で体調を崩したのはこれまでのところ1度のみ。出張先での食事が当たり、下痢になったくらい。この時は、金曜日の夜に症状が発症して、週末にかけて体調が回復したので、仕事には支障がなかった。

今回の発端は、月曜日の朝。何となく体のだるさは感じたものの、仕事を休むほどではなかったのでそのまま出勤。念の為、薬を持参。午前中は、そのだるさが継続していたが、そこまで深刻な様相ではなかった。

事態が急変したのは、昼食後、突然、一気に熱が上昇。頭がクラクラし始める。持参して来た薬を服用し、昼食後の残りの昼休みの時間、横になった休む。薬の効果か、少し体調は収まったような気配がしたが、終業時間ごろには、その効果が薄れてきたのか、再び熱が上がってきた。

喉の痛みはなかったので、おそらくコロナではないだろうと、素人ながらに推測はついたが、高熱に加え、目の奥の痛みからデング熱ではないかと疑う。10年以上も前に一度、デング熱に罹患した際も、同様の症状が発症したので、嫌な予感。夜も薬を服用してそのまま就寝。

病欠には診断書が不可欠

ただの風邪で翌日にはよくなっているかもしれないという淡い期待は外れ、目が覚めるととても仕事に行けるような状態ではない。ひとまず、上司に電話で状況を伝えて、総務からの連絡を待つ。

総務の同僚から、オフィスで働けないのであれば、テレワークはできるかと尋ねられる。テレワークどころでもない。1秒でも早くベッドに横になって休みたい。

テレワークもできないなら、病欠扱いにできるけど、それには医師の診断書が必要という。当たり前か。それがないと、皆が仮病で休んでは仕事が回らない。

体調を考慮すると、車の運転はもちろん、歩くこともままならず、自力で病院には行けそうにもないと訴えると、訪問診察ができるかチェックして、また連絡するということだった。医師が家まで来てくれるならありがたい。連絡が来るまでしばらくベッドで休む。

1,2時間くらい寝ようと思っていたが、30分もしないうちに連絡が来て、訪問診察は空きが無いので、直接病院に向かうように指示される。事情を考慮して、勤務先から車を手配してくれるという。それはありがたいのだが、病院に向かう体力も気力もないような状態。それでも病欠には診断書が必要なのだ。さっさと行って書類だけもらって帰ってこよう。

診察にたどり着くまでが一苦労

コロナが収束してからすっかり出番が減ったマスクを久しぶりに取り出し、同僚の運転でクリニックへ。

いざクリニックに到着するも、そもそも予約もないのにどうやって診察まで辿りつくのだろうか。総務との電話の際に、この点を確認しておくべきたったが、病気のせいかそこまで頭が回らなかった。再び総務に電話。

こちらは診察にたどりつくまでの手順を質問しているにも関わらず、クリニックと勤務先は提携関係にあるから、窓口での支払いは不要等々、質問とは直接関係ない返答に混乱。この体調で頭がクラクラしているときにスペイン語。おまけに、求めていない返答に、質問の意図が伝わっていないこと疲労がさらに募る。

ブラジルやコロンビアに住んでいたころの経験から、緊急外来に駆け込めば、予約はなくてもひとまず診察にはあり着けるだろう高を括っていた。しかし、総務の同僚は、症状は緊急を要するものなのか?云々、なかなか意思疎通が嚙み合わない。別に、交通事故に遭って流血しているわけでもないし、このデング熱のような症状が緊急かと問われれば、そではないかもしれない…。

ひと悶着あった末、緊急外来で対応してもらえることになり、請求も勤務先に送られ、給与から天引きということになるようだ。同僚はしきりにこの点を説明したがっていたが、もはや支払いのことは二の次。クレジットカードで支払い、後で保険還付するだけの話と考えていたのだが、同僚としては立て替え払いをしないで済むように色々尽力してくれていたようだった。

早速、緊急外来の扉の向こうに通される。コロンビアやブラジルとは異なり、ガラ空きの緊急外来。このクリニック儲け大丈夫?とふらふらの体に、勝手に心配がよぎる。

一方、この閑散とした状況ならさっさと診断書をもらって帰れそうと期待が膨らむ。

問診、血液検査、点滴、診断、トータル5時間

緊急外来のベッドで横になっていると、体調が体調だけに、眠りに落ちてしまった。

肩をゆすられ目を覚ますと、医師らしき方がいて、問診スタート。症状発症の経緯や、現在の症状、既往歴などを説明。仕事の病欠の為に、診断書が必要なので、それを頂いて一刻も早く帰宅したい旨も伝える。問診を終えた医師が去り、再びベッドで眠る。冷房がガンガン効いているだろうと、上着を持ってきておいて大正解だった。

寝ているうちに気が付けば1時間以上も時間が経ち、次に起こされた際には、血液検査のための採血。もうろうとする頭の状態で、事態を飲み込もうとする。

デング熱の可能性が排除できないので、血液検査で血小板の数値などをチェックする必要があるとのことだ。理にはかなっているが、検査の結果がでるまで待機しないといけなくなるので、すぐには帰宅できないことを悟る。採血の後、三度眠りにつく。次に起こされた時には時計は正午を回っていた。9時過ぎにクリニックに到着したので、既に3時間近くの時間が経過。早く帰りたい。

幸い、緊急外来内のベッドに横たわれているので、一般外来の待合室の椅子に座って待つのに比べたら体への負担は軽減されている。それでも、この体調を考慮すると、一刻も早く帰りたい。

その思いも虚しく、右手の甲に点滴用の針が刺され、1リットル近い点滴が吊るされているのが目に入る。絶望。少なくともあと1時間はここで待機しなければいけないことを悟る。

絶望的な気持ちを忘れるべく、寝る。もうそれしかない。

ふと目が覚めると、また別の医師の姿。点滴の袋に目をやると、残り僅か。ずいぶんと長い時間、眠っていたことに気付かされる。医師の診断によれば、白血球、血小板の数値が基準値を下回っており、現時点の血液検査ではデング熱は陰性だったが、その可能性は排除できないので、2日後に再び血液検査を受けるように指示され、それまでは病欠として仕事を休むよう診断される。

10年以上も前に苦しめられたデング熱の辛い記憶が蘇る。

点滴も無事に終わり、本日の診察終了。この頃には時計の針は午後2時を過ぎていた。診断書をもらってすぐに帰ろうという目論見は、結局5時間も病院に滞在することになり、疲労が一層募る。

受け付け時に、ひと悶着あった支払いは、日本円で約55,000円。これだけの金額になるので、同僚が立て替え払いをしないで済むように色々奔走していた意味がようやく汲み取れた。

それにしても、病気になるとコストがかかる。保険でどこまでカバーされるか不明だが、体調が回復したら後日、保険請求を忘れずに手続きしよう。

診断書に病欠の記載なし…

疲労困憊で帰宅。一刻も早く休みたいのだが、総務に報告の電話、上司にも連絡と、なかなか休めない。

総務から診断書の写しを送るよう指示され、ワッツアップで送信。ふと診断書に目を通すと、2日後に血液の再検査要とだけ書かれており、それまで仕事は病欠すべしの一言の記載なし。

医師から診断書を手渡された時点で、確認すべきだったが、あの体の状態で、そこまで意識が回らず。

ひとまず、総務には医師から指示された内容を口頭で説明し、一旦了承をもらう。病欠をするのがこんなにも大変だとは。やはり体調管理には気を付けたいものだ。

2日後の検査では、白血球、血小板とも数値は改善され、デング熱の可能性は薄くなったが、まだ体調はすぐれず。医師の診断を同じ日に受けたかったが、不可能ということで、翌日に。

診断では、まだ血液検査の結果は良好ではないので、週末まで病欠にしてゆっくり休むように指示される。今度は、その旨を含めて、最初に緊急外来で受診した時の日付に遡って病欠するようにと診断書に記載してもらう。

病欠5日間と記載された診断書

診察と診断書だけで費用70USドル(=約10,500円)。ベネズエラの生活水準を考慮するとかなりのお値段。結局火曜日から金曜日まで病欠で仕事を休み、その週末になってようやく体調が回復。海外駐在生活において、慣れない医療事情を考慮すると、やはり健康が第一と思い知らされる。

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