サンティアゴ巡礼 / ファティマ巡礼 Day 6 休息日

サンティアゴ巡礼

巡礼6日目にしてオフを取る。ここまでの道のりは想像以上に体に負荷がかかっている。欧州に到来した熱波の影響もあり、日に日に体が重たくなっているのを実感していたので、休息日を設けるのは賢明な選択。

前日は、ファティマ大聖堂の外観のみを見ただけなので、内部の様子とファティマ市街地を観光しようと計画していたが、足の負傷がそれを許さない事態に。

目覚ましなしの朝の幸せ

暑さを回避すべく、早朝に出発するため、午前5時台に目覚ましをセットして苦手な早起きに取り組んできたが、この日は目覚ましに起こされない至福に浸かる。

目が覚めたのは午前8時30分。さすがに前日10時間以上歩いたせいか、ぐっすりよく眠れた。

夜に入浴した効果だろう、幾分足の疲れが軽減されたような気もするが、右足の裏のマメにばかり気を取られていたら、左足の踝あたりが腫れているのに気付く。

前日、遭難の危機の際に足をくじいたのか。そんな記憶はないが、パニック状態に陥っていたので、気が付かなかったのかもしれない。

ファティマで宿泊したホテルは朝食付きのプランではなかったので、すぐ隣のカフェで朝食。

カフェの朝食5ユーロ

オレンジジュース、コーヒー、パンに、チョコレート菓子パン。合計5ユーロ(=約850円)モーニングで500円超えは、日本の物価からすると割高ではあるが、欧州でこれだけ食べてこの値段は安い方。カード支払いができないのは残念だが、リーズナブルなので満足。

あまり愛想がよさそうではないおばさんが親切に接客してくれ、ジュースとコーヒーは一緒に提供するのか、パンにはハムやチーズなど何も挟まなくていいのか等々、気遣ってくれた。

日曜日の朝、地元の人がカフェで過ごすのを観察するだけでも、その暮らしぶりの一端を覗けているような気分になり楽しい。カフェはあっという間に満席になり、お客さんは世間話に花を咲かせている。

遭難の危機で負った傷跡

前日は、あまりの疲労のため、日課にしているその日の巡礼記録を日記に書くことができなかったので、カフェで執筆。ふと、自分の腕に目をやると夥しい数の擦り傷。前日の遭難の危機を物語っている。あまりの痛々しい姿に、カフェの客が大丈夫か?と声をかけてくれるほど。

これも巡礼の苦い思い出というか証の1つとして記憶に残るだろう。

カフェを後にする頃には、左足の腫れが悪化し、一旦ホテルに戻って、アイシングをする。

宿泊したホテルの受け付けは、パキスタン人の方で、これまで家族の仕事の都合上、世界各地のポルトガル語圏に暮らしたことがあるという。よってポルトガル語でのコミュニケーションは問題なく、アイシングの為の氷の準備など、丁寧に応対してくれて感謝あるのみ。

ポルトガルのスープ料理を味わい尽くす

気温が上昇するまでに観光を済ませようと思っていたが、足の状態を考慮して断念。ホテルで安静にする。テレビに映し出されるBBCニュースは、ヨーロッパを襲う熱波による猛暑をトップニュースで伝えている。

前日に、こんな猛暑の中を10時間も歩いていたなんて。危険行為。これからは、天気予報もチェックした上、出発をできるだけ早めよう。正午から午後2時位までに最高気温に達するという固定概念を持っていたが、日が長い欧州では、午後4時前後に気温のピークを迎えるようだ。

よって、6~7時間歩くと想定して、午後1時前後に目的地に到着できるのが理想。そうすれば、昼食で地元グルメも楽しめるようになるだろう。

観光は断念したが、ホテルに籠るための食料&翌日の巡礼の水を確保しに、近くのスーパーで買い物。

普段は食べないポテトチップスは、塩分摂取の為と言い聞かせる。出歩かないでいいように UberEats で昼食を注文しようと考えたが、食べたかったスープ料理の店がホテルから目と鼻の距離であることが判明し、プラスティックの味気ない器で運ばれて来るよりは、店内で食事した方が気分が上がると思い、レストラン・Sopa&Company へ。

店内には、2日目の巡礼宿で出会ったアメリカ人の親子の姿。この日、ファティマに到着し、バスでサンティアゴ巡礼のルートに戻るという。この2人も、猛暑に手こずり、予定より大幅に巡礼が遅れているという。暑さに苦しめられていた巡礼者は自分一人だけではなかった。

ポルトガル国旗カラーのレストラン

UberEats ではスープの値段は 3.4 ユーロ (=約600円) となっていたが、レストランではスモールサイズ2.5ユーロ、ラージサイズ5ユーロとなっている。消化に優しいスープは、暑い日でも食べたくなる。

ポルトガル料理のスープ

魚のスープの大きいサイズを注文したかったが、あいにくもうスープが残っていないという。小さいサイズを2種類食べればいいじゃないという店主のおばさんの勢いに押され、まずは魚のスープのスモールサイズから。優しい味に巡礼の疲れごと癒される。

ポルトガル料理と言えば、思い浮かべるの品は人それぞれだが、家庭料理に限ると、個人的にはこのスープを一番最初に挙げる。味噌汁文化にも通じる、汁物があるだけで、親近感が湧いてくる。

魚のスープを食べ終え、マッシュルームスープか人参スープか迷っていると、2つとも食べればいいじゃない!と言われ、その提案を受け入れる。

マッシュルームスープ
人参スープ

1つのスープを食べ終えると、同じお皿に次のスープを注ぎ足し。気取らないスタイルも好感が持てる。毎日、いくつもの種類のスープを準備するのは重労働に思える。すると、おばさんは「ポルトガルでは、スープ作りは仕事の割にはお金にならないという格言があるの」と、大きな笑い声を上げながら嘆く。それでも、スープ料理は欠かせないという。

UberEats は便利であることに疑いの余地はないが、こうした店の人との交流は何にも代えがたい。作り手の顔が見えて、かつ3種類のスープを食べたのに、お代は5ユーロでいいという太っ腹。一気にファンになってしまった。

ホテルに戻り、部屋のバスタブを活用すべく、入浴をして軽く昼寝。

ファティマ大聖堂内部へ

腫れあがった足

昼寝から目が覚めて驚き。左足がまるでゾウの足かのようなサイズに腫れあがっている。こんな状態で外出するのは憚られたが、翌日以降のルートをチェックするためにも、観光案内所には向かいたい。

歩くのは断念してタクシーで向う。案内所の方は Ourém まで巡礼の道しるべが表示されていると教えてくれた。Seiça という町を抜けるルートもあるが、宿泊施設が限られている上、割高なので、Caxarias から Alvaiázere に抜ける方がベターな選択肢。観光案内所で相談してルートが定まったので、暑い中訪れた甲斐はあった。

観光案内所からファティマ大聖堂に向かう。位置で言えば隣同士と言っても過言ではないが、いかんせん大聖堂内の敷地の広いのなんの。足を引きずりながらの移動は、さらに遠く感じさせられる。

ロウソク売り場

ロウソクを立てるべく1本購入。小さい、短い方でもよかと思ったが、火をつける炎の勢いが激しく、長い1ユーロの方を選択しておいて正解だった。

ロウソクに火を灯したら、大聖堂内へ。内部は豪華絢爛とはかけ離れたシンプルな印象。白の無垢に、施されたアーチが来訪者を包み込むような設計。

信者ではないが、椅子に座りここまでの道のりを思い出した。遭難のピンチに陥ったこと、おじいさんがペットボトルの水を1本分けてくれたおかげで、何とかファティマまで辿り着けたこと等々、すると自然に涙が頬を伝っていた。

サンティアゴまでの無事と世界の平和を祈り、大聖堂を後にする。

巡礼断念のピンチか?

午後5時を過ぎても、日差しの強さは変わらず、気温も高いまま。足も痛いので、湿布を薬局で購入してホテルに戻ろう。通りがかりのお土産屋さんで、4ユーロのサングラスを購入。遭難しかけた際に、サングラスを無くしたので、この強い日差しの中を歩くにはマストアイテム。

薬局で足を見せて湿布の購入を相談すると、捻挫ではなく、靴擦れの患部から細菌が入り、化膿して足が炎症を起こしている可能性を指摘された。

足の治療のための薬

炎症止めの塗り薬、痛み止め錠剤、絆創膏の3つ、28ユーロで購入。5,000円近い、文字取り “痛い” 出費だが、足の治療の為なので仕方あるまい。薬剤師さんに、サンティアゴ巡礼中であると伝えると、塗り薬で腫れが引かないようならば、巡礼そのものを断念して治療に専念すべきと忠告される。

一体どうなることやら。

ホテルに戻り、翌日の天気予報をチェック。予想気温、40度越え。これは何としても午後の早い段階までに巡礼を終わらせないと。その前に、足の状態が良くなっていることを願い、就寝。

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