スウェーデンの首都ストックホルムを旅していると、高層ビルとは無縁の落ち着いた雰囲気の街並みに、緑溢れる自然が調和して癒しを与えてくれる。
さらに、この首都は「北欧のヴェネツィア」とも呼ばれるくらい、水の都としての気品も漂わせる。水と緑に囲まれたストックホルムの自然を、カヤックとハイキングを通して存分に味わう。
水辺からのストックホルムの眺めは別格

スウェーデン人の元同僚を訪ねる旅は、偶然にもハイキングなど自然のアクティビティが大好きなスイス人の、これまた元同僚が合流して、ストックホルムで一緒に過ごすことに。
地元の元同僚の手配で、ストックホルムで中心地から自転車でLångholmen島に到着。ここでカヤックをレンタルして、水辺から首都の美しい街並みを堪能しながら、自然のアクティビティを楽しむという計画。
計画は素晴らしかったが、出発した時点では、どんより曇り空に風が吹き付ける。この天気で本当にカヤックに乗るのか?と誰もが疑問に思っていたが、旅の神様が味方して、空が徐々に晴れ渡り、アクティビティ日和となる。若干、風の影響で波は立っていたが、それに抵抗するために、パドルを目一杯漕がなければならないというほどではなかった。
Långholmen島を時計回りに1周するコース。人生でカヤックに乗るのは2回目。まだまだビギナーの域を超えていないので、当初はバランスを保ちながら、パドルをリズムよく動かくことに神経が取られ、景色を楽しむ余裕はなし。
徐々にコツを掴み始めると、目の前に広がる景色に目を奪われる。水と空の青が織り成す空間の中間にストックホルムの美しい街並みが浮かび上がっているような光景に心を奪われる。

スウェーデンに到着してから、ストックホルム市内中心部は歩き尽くしてその街並みにも新鮮味が失われかけていたが、水辺からの眺めは別格。改めて、整然とした街並みに美しさと感動が蘇る。
混雑しているであろう旧市街の喧騒とは無縁の水上。静けさの中で自然を満喫。
3人とも島を一周した後、まだまだ余力が残っていたので、そのまま向かいのReimersholme島も一周。

北欧と耳にすれば、森の中のハイキングとイメージしがちかもしれないが、スウェーデンは25万以上の島を抱える国であり、島を巡るフェリーが交通網として発展し、さらにはボートを所有する個人が、水辺の運行を楽しむというのも一般的なようだ。
3人で無事にカヤックで2つの島を周回できた記念に、そのまま水の中へダイブ!カヌーで少し火照った体を冷やして終了。カヤックに必要な用具はすべてレンタルできるため、観光客でも気軽に利用できるので、視点を変えて、ストックホルムの街並みを楽しむのに最適な手段の1つ。
ミュージアムの島でハイキング

ストックホルムには数多くの美術館や博物館が点在する。Djurdarden (ユールゴーデン)島には、スウェーデンを代表する歌手 ABBA の美術館、北欧民族博物館などがが集まっており、「ミュージアムの島」とも呼ばれる。
とはいえ、島の3分の2ほどは緑が残り、ハイキングを楽しむ地元の人たちの姿も。
当初の予定では、ユールゴーデン島でいくつかの美術館を巡ろうと考えていた。しかし、直前に訪れたストックホルム市庁舎の黄金の間の圧倒的なスケールとゴージャスさに、この後、何を鑑賞しても陳腐な印象しか得られないような気がしたので、美術館巡りはあきらめて、島の中をハイキング。

首都ストックホルムの中心部からそれほど離れていない場所だが、大自然の中に飛び込んだような感覚。忙しない都会の生活や労働から解放されているせいか、周りの景色の1つ1つを丁寧に観察することができる。
見上げた木の上には、リンゴの果実がなり、色づき始めている。こうした自然のちょっとした姿を身近に感じられるスウェーデンの自然の豊かさ。
島の水辺の傍を歩いている時は同じように、ハイキングを楽しむ人の姿を見かけたが、島の中心部に進むと、森林浴を楽しめるような静けさ。

あまりの静けさに、遭難したのではないかとも一瞬、危惧したが、念の為、グーグルマップで現在地を確認。目指す方向に沿って歩みを進めていることを確認。
他のハイカーには出会わなかった場所で、突然、馬車が現れる。一瞬、この島にもアーミッシュのような人たちが暮らしているのかと想像が駆け巡ったが、どうやらドラマか映画の撮影クルーのよう。
映像に写り込まないように、しばらく待機させられ、その間にクルーの一行が進んで行く。自然の中のワンシーンが必要に場合でも、ストックホルムなら首都からすぐの距離でロケ地を確保することができるというわけだ。
2時間ほどのハイキングを楽しみ、Fika時間を過ごして、ユールゴーデン島を後にする。
スウェーデン人にとっても自然との時間を確保することは重要なようで、元同僚のお姉さんは、新居を決める際、周辺環境として、ハイキングができる森が近くに存在することが条件の1つだったそう。
北欧最大の人口を誇るストックホルムだが、それでも高層ビルが立ち並ぶ街並みではなく、中心部から少し足を伸ばせば、水と緑の自然に触れあえる場所にたどり着く。
旅で少し疲れた際には、地元の人のように、自然の中で時間を過ごして癒されるのも悪くはない。