暮らすように旅するスウェーデン#6 スウェーデンのグルメを探る

スウェーデン

スウェーデングルメと聞いて、即座にイメージできる料理がいくつあるだろうか。正直なところ、スウェーデン料理レストランを見かけたことはこれまでの人生で一度もなく、IKEAのフードコートがスウェーデン料理を身近に感じられる唯一の機会と言っても過言ではない。

あまり馴染みのないスウェーデン料理への理解が少し深まることを期待しながら旅をする。

アイコニックな存在のカルダモンロール

ハーフサイズにカットされたカルダモンロール(右)

1年半ぶりに再会したスウェーデン人の元同僚は、久しぶりの顔合わせに喜びの表情を浮かべるとともに、一緒に朝ごはんを食べよう!とパンを用意してくれた。

カルダモンロールとアーモンドロール、どっち?と決断を迫られたが、どちらも美味しそうで選べない。それならば、半分ずつと2つのパンを頂く。

カルダモンはショウガ科の植物だが、実のところ料理でもそれほど使用する頻度はなく、味にはそれほど馴染みはない。試しに一口。少しクセのある味わいが口の中に広がり、美味しいのか好みの味なのか判別できない。

もう一口頬張ると、そのちょっとクセのある味わいの虜に。美味しい!と心の底から叫びたくなる味ではないが、もう一口、もう一口と手が止まらない不思議な感じ。

様々な味わいのロールパン

初めて食べた味わいだったせいなのか、よく理解できないままカルダモンロールとの出会いが始まった。

ストックホルム市内のカフェやベーカリーでカルダモンロールを見かねない場所はないと断言できるくらい、アイコニックな存在。いつしか、店に寄っては朝食用に1つ購入するのが習慣となった。

カルダモンロールとヨーグルトの朝食

たかがパン、されどパン。カルダモンロールを口にしている時にはスウェーデンを旅しているというよりも、スウェーデンに暮らしているかのような雰囲気を味わえる。

サンドイッチ大国?

カフェで販売されるサンドイッチ

暮らすように旅するスウェーデン#3 毎日の生活に欠かせないFIKAで紹介したスウェーデンのコーヒーブレイク文化。 

FIKAの習慣のおかげで、ストックホルム市内中心部のあちこちにカフェを見かける。カフェに入るや目に飛び込んでくるのはカルダモンロールに加えてサンドイッチ! これでもかというくらいのボリューム感満点の様々なサンドイッチが並べられ、食欲をそそられる。

種類豊富なサンドイッチは旅人の味方でもある。旅行中、外食続きで胃が疲れている時、軽く済ませたいときや、観光の合間に手短に食事を取りたいときなど、サンドイッチ1つあれば事足る。

さらに、カフェにはずらりとサンドイッチが並べられているので、指差しで注文できる点も便利。

食べ物にアレルギーなどがある旅行者でも、定員さんにサンドイッチの中身を尋ねれば、親切に応対してくれることがほとんど。

スウェーデン旅行中に食べたサンドイッチの中でNo.1は、正式な名前は不明だが、勝手に命名したダブルトマトサンドイッチ。フレッシュトマトとドライトマトがモッツァレラチーズ、ルッコラと一緒に挟まった一品。

クラッカーのような硬いパン・クネッケブロードは欠かせない

スウェーデン人の元同僚を尋ねるのがこの旅の主な目的だったが、偶然にも共通のスイス人の元同僚も、同じ時期にストックホルムに滞在していることが判明し、久しぶりの再会を祝うため、レストランへ。

昼食時にレストランを利用したので、ランチメニューからサーモンを選択。料理が運ばれてくるまでにお通しとしてパンの盛り合わせがテーブルに運ばれてくる。

バゲットを薄く切ったようなパンに加えて、薄くて平たいクラッカーのようなパン。クネッケブロード(Knäckebröd)と呼ばれる、スウェーデンのパンの代表格。

そのままクラッカーのように食べることもできるほか、バターなど付け合わせを塗って味わうこともできる。さくさくとした食感にスナック感覚で食べ進めていると、突然、満腹中枢が作動し始めるので、注意が必要。

ランチメニューはサーモン

メインのサーモンが運ばれて来るまでにクネッケブロードのせいでお腹が満たされてしまった。幸い、メインのサーモンはクリームなどこってりした味付けではなかったので、問題なく平らげることができた。

スウェーデン人の誇り “キャビア”

チューブ状のカレス・キャビア

キャビアと言えば、黒いダイヤとも言われるチョウザメの卵だが、スウェーデンのキャビアはマスの卵を指すのが一般的で、調味料として幅広く用いられる。

スウェーデンが誇るピンク色の “キャビア” 是非食べてみてと同僚からチューブ状のキャビアを手渡され、茹で卵に塗っていただく。たらこに馴染みのある日本人からすれば、何の抵抗もなく、素直に受け入れられる。なんなら、このチューブ1本あれば、たらこスパゲッティならぬキャビアスパゲッティができてしまうではないか、と想像を巡らせる。

スウェーデンのキャビアを初めて味わい、その親近感と可能性に魅かれている姿は、渋い顔になるのを期待していた元同僚を裏切る展開になってしまった。魚卵を食べる習慣でスウェーデンとの距離がまた縮まったような気分にさせてくれる。

外食疲れは自炊で癒す

夕食のメニュー

スウェーデン人の元同僚を訪れ、さらに別のスイス人の同僚との再会する今回のスウェーデン旅では、このスウェーデン人の元同僚のお姉さんの家にホームステイをさせていただく機会に恵まれた。日本でも数年暮らしたことのある彼女は、日本人の習慣にも精通しており、すばらしいおもてなしをしてくれた。

特に、旅行中は外食続きで胃が疲れ気味になるので、一緒に料理をして夕食を囲みながら、これまでの互いの人生や直近の世界の情勢など様々なトピックを夜遅くまで議論しながら、ステイを楽しむことができた。

日本では余り馴染みのないスウェーデン料理。食べられる機会も限られているため、世界的には少しマイナーな存在。それ故、スウェーデンを訪れた際には、カフェからレストラン、家庭料理まで様々なグルメを通して、スウェーデンの食文化への理解を深めてほしい。

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