誰でも挑戦できるサンティアゴ巡礼とは?

サンティアゴ巡礼

バケットリストに載せた「サンティアゴ巡礼」-その出逢いは、初めてスペインを訪れた大学生のころまで遡る。バルセロナ、マドリードなど主要な都市に加え、サンティアゴ・デ・コンポステーラを訪問。そこで巡礼者たちに出会い、巡礼の存在を知ることに。

同時に人生のバケットリストに加えてから月日が流れ、ついにその夢を叶える時が巡って来た。巡礼に入る前に、そもそもサンティアゴ巡礼とは何かを紹介する話。

ヨーロッパ三大聖地の1つサンティアゴ・デ・コンポステーラ

サンティアゴ巡礼を端的に表現すると、ヨーロッパ三大聖地の1つ、スペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラまで巡礼の旅として辿り着くこと。

サンティアゴ・デ・コンポステーラでは、9世紀初頭にキリストの12人の使徒の1人聖ヤコブの墓が見つかり、その場所に教会が立てられた。他の三大聖地であるエルサレムとローマへの巡礼が困難になると、サンティアゴ巡礼に注目が集まり、12世紀ごろには巡礼路が整備されたという。

サンティアゴ・デ・コンポステーラはスペイン北部のガリシア地方の都市で、旧市街地は世界遺産にも登録されている。その旧市街地の中心部に、12世紀に建設されたロマネスク様式の傑作である大聖堂が巡礼者を迎える。

幾千もの巡礼ルート

サンティアゴ・デ・コンポステーラはスペインの都市の1つであるため、巡礼旅はスペイン国内と想像するかもしれないが、その巡礼ルートはヨーロッパ各地に伸び、スペインのみならず、フランス、ポルトガル、スイス、イタリア、ベルギー、ドイツなど欧州各国に及ぶ。

決められた出発地点は存在せず、巡礼の終了後に証明書を発行してもらうには、サンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂まで100キロの道のりを歩くか、自転車の場合は200キロを走行するのが主な条件となっている。

証明書の発行にこだわらないという場合は、好きな区間だけ歩くことも可能で、巡礼者はそれぞれのペースと目的で、ルートを設定することができ、自由に巡礼旅に挑戦できる。こうした巡礼者は「ペリグリーノ」と総称される。

巡礼の目的はペリグリーノによって様々

キリスト教の聖地を目指す巡礼旅と聞けば、その門戸はキリスト教徒のみに開かれているという印象を受けるかもしれない。しかし、実際にはキリスト教信者でなくても巡礼に挑戦することができる。巡礼の目的はペリグリーノによって実に様々。

もちろん、純粋な信仰心から巡礼を実施する人もいれば、老後の十分な時間を有効に使う、スピリチュアルな何かを求める人、歩きながら欧州の小さな村々を巡りたい人、各地のグルメを楽しむ人など、実に千差万別。

従って、キリスト教徒でなくても巡礼においては肩身の狭い思いをする心配はなし。巡礼中は目的は違っても、同じ場所を目指す仲間意識が自然と芽生える。

巡礼路には宿泊施設「アルべルゲ」

アルべルゲの標識

巡礼中はどこに宿泊するのか気になるかもしれない。巡礼ルート各地に「アルべルゲ」と呼ばれる巡礼者向けの簡易宿泊施設が整備されている。

アルべルゲは、2段ベッドのドミトリーが中心だが、個室を備えているアルべルゲもあり、予算と好みによって使い分けられる。また、アルべルゲは他の巡礼者との出会いの場でもあり、それぞれの巡礼の苦労話に花が咲く。

アルべルゲのドミトリー

アルべルゲはベッドと洗濯場、シャワーにキッチンなどが備わっているが、プライバシーを重視して、充実した設備を求める場合は、ホテルや民泊を利用することも可能。巡礼中は、アルべルゲに宿泊しなければならないというルールはなく、その日の気分によって宿泊先を変えていくと、快適に巡礼を進めることができる。

巡礼者の目印は貝殻

バックパックを背負い、中にはステッキをついて歩いている、いかにも巡礼者(ペリグリーノ)という人を見かけるが、それ以外にも、十字架が描かれたホタテ貝がリュックにぶら下げられていると、すぐに巡礼者と見分けられる。

巡礼ルートの地元の方は、そのホタテ貝をみて「Buen Camino (よい巡礼を!) 」と激励の言葉をかけてくれる。このホタテ貝は、かつては終着点のサンティアゴ・デ・コンポステーラにたどり着いた証として配布されていた。

現在は、技術の進歩で、証明書が発行される。古の時代に多くの巡礼者に配布できるのは、ガルシアの名産ホタテの貝殻のみだったというわけだ。

しかし、この貝殻は丈夫で割れにくく、水汲みに使用することなどもでき実用性も兼ね備えている。

巡礼ルートの教会などで2ユーロほど(=約350円)で購入できる。

サンティアゴ巡礼の基本知識をまとめたら、いよいよその準備に入る。

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