旅をする上で一番気になるのが現地の物価。旅の予算や日程にも大きく影響してくるので事前におよそのイメージは掴んでおきたいところ。高福祉高負担で知られる北欧諸国の一角であるスウェーデンの物価について、飲食を中心に旅人の目線から迫る。
格差の少ないスウェーデンの給与
スウェーデンには政府が法律で定める最低賃金は存在しない。スウェーデン政府の統計当局によると、スウェーデンの2024年の平均月収は3万6,100クローナ(=約57万円)
管理職の平均月収は5万8,900クローナ(=約93万円) に対し、レストランなどサービス産業の従業員の平均月収は2万7,200クローナ(=約43万円)この統計からは、職業やポストによる給与格差が少ない印象を受ける一方、物価の高い北欧諸国において、スウェーデン人の給与は日本と比較して驚くほど高いという水準ではない。
スウェーデン人の元同僚は、手っ取り早くお金を稼ぐには、隣国の石油大国ノルウェーで仕事を探のが一般的と話す。所得水準から物価を想像すると、日本の1.5 ~ 2倍程度とみられるが、旅をして調査した物価はいかに。
スタバのコーヒー1杯700円超え

暮らすように旅するスウェーデン#3 毎日の生活に欠かせないFIKAで紹介した通り、スウェーデンではコーヒーブレイクを取ることが習慣となっている。
そこで気になるスターバックス指数だが、アメリカーノ・トールサイズは46クローナ(約731円)と、日本の価格の約1.5倍。価格の設定もさることながら、為替市場での円安も響く。
ドルやユーロなど他の通貨同様、スウェーデンクローナに対しても円安基調で、過去5年で約3割ほどの円安水準となっている。
スタバに限らず、地元のカフェでもコーヒーは45クローナ前後なので、FIKA文化に触れるためにコーヒーブレイクを旅行中は取りたいが、気軽に一杯とはいきそうにない。
ランチは149クローナが相場

ストックホルム市内中心部のレストランは、一部の観光客向けの場所を除いて、概ねランチメニューの相場は149クローナ前後(=約2,350円) 食事中の飲み物は別代金だが、メイン以外にお通しとしてのパンや食後のコーヒーが含まれることもあり、相場感としては日本の約2倍の値段といったところ。

暮らすように旅するスウェーデン#6で紹介したカルダモンロールは、46クローナ前後(=約730円)毎日でも食べたいおやつなので、ちょっぴり高く付くのは痛いが、店によっては5つのパンで179クローナ(約2,830円)といったようにセット割のようなサービスを提供しているところもあるので、シェアをするなどして、上手に予算を浮かせたいところ。
スーパーでの買い物はリーズナブル?


観光地での飲食の値段は、立地や+αのサービス料金が加算されているので、どうしても割高になる傾向がある。地元の物価を肌で感じるのにはスーパーで買い物をするのが一番。
ストックホルム中心部から少し離れたスーパーで、アボカド、トマト、サラダ用の野菜に加え、ヨーグルトとブルーベリーを購入した時の代金は120.65クローナ(約1,900円)
この日はアボカドの特売が実施されており、3個購入で割引が適用され、全体としてはそれほど割高感はない。


この他、旅行者として購入頻度が高いミネラルウォーターは1.5リットルで約160円、軽く朝ごはんにもなるクロワッサンなどのパンは200円弱と、スーパーでの買い物はリーズナブルな印象。
物価高の北欧での節約方法
現地に在住せずに、ひと時の旅行で節約の術を網羅するのは至難の業。それでも、旅人が簡単に節約をできる方法もある。
例えば、ストックホルム・アーランダ空港から市内中心部までのシャトルバスの料金。窓口で購入すると、149クローナ (=約2,400円) だが、オンラインで購入すると、129クローナ、さらに往復で購入すると209クローナとお買い得感が増す。
旅の最中、チケットなどはまずはオンラインでの価格をチェックしてみるのが賢明だろう。
現金払いは見かけず
スウェーデンの物価というテーマで、お金に絡み、支払い方法について述べると、スウェーデンに至っては完全なキャッシュレス社会と言っても過言ではない。旅先に到着したらまずは両替が頭に浮かびがちだが、スウェーデンではその心配はほぼ無用。
飲食の支払い、美術館などの入場料、地下鉄など公共交通機関、ほぼ全てがカード払いに対応している。現金のみというところは見かけず、反対にカードのみという場所の方が目に付いた。
他の客を見渡しても、スウェーデン滞在中に現金で支払いを済ませている人は1人も遭遇せず、キャッシュレス社会にほぼ移行しているという印象。
旅行という限られた時間の中では、地元の人のようにお得なクーポンや割引などを活用できる機会は限られている。さらに観光地の値段は通常より上乗せされているのが一般的だが、スウェーデンの首都ストックホルムに関しては、飲食を通して感じた物価は日本の約1.5~2倍程度。
円安相場もあり、決して安くはないが、物価の高いヨーロッパ、さらに社会福祉制度を維持させるための高負担を強いられる北欧にあって、スウェーデンの物価は驚くべき水準とまではいかない、という結論。