暮らすように旅するスイス#4 鉄道関連の相次ぐ旅のトラブル 

スイス

親友のおかげでスイスの訪問はいつも快適に過ごせるのだが、やはり旅をしているとトラブルには付きまとわれるもの。

好天に恵まれた夏のスイスのハイキングを楽しみ、親友の家族とも充実した時間を過ごし、スイス旅行を満喫するはずが、今回の旅では鉄道にまつわるトラブルに相次いで巻き込まれてしまう。

メアドの入力ミスで鉄道パスが使用できない⁉

世界一物価の高い国ともいわれるスイス。さらに足元の対スイスフランの円安はスイス旅をさらなる高値の花にしてしまう。

旅の費用を抑える強い味方の1つがスイス連邦鉄道のレイルパス。3日から15日間まで有効なタイプと1ケ月の有効期間内に3日から15日まで好きな日にちを選んで乗車することができるフレキシブルタイプがある。

このレイルパスは列車の移動のみならず、バスやトラムなど他の交通機関のほか、博物館・美術館の一部も無料になるお得なパス。

スイス国内を移動して旅する際には、旅程に合わせてうまくこのレイルパスを使い分けたいところ。スイス滞在中、親友と別行動する間にジュネーブへ仕事関連のミーティング、さらには別の都市への日帰りトリップのため、3日間のフレキシブルタイプのレイルパスを購入。

2025年8月に購入した際は、3日間使用できるフレキシブルタイプ(2等車用)は232スイスフラン(=約44,000円)当時の為替レートから、クレジット会社は1スイスフラン=189円で計算して請求された。1日あたり約1万5,000円。決して安くはないが、スイスの物価を考慮すれば割安と言わざるを得ない。

さらに、2026年には値上がりが実施された模様で、同じ3日間のフレキシブルタイプ(2等車用)は289スイスフラン!そのうえ、足元の為替レートは1スイスフラン=約197円前後とさらなる円安も進み、クレジット決済の場合は手数料を考慮して、1スイスフラン=200円前後で請求されるので、約57,800円となってしまう。

世界中どこも値上げの嵐の話は置いて、トラブルの話に戻ろう。親友と話し込みながら、レイルパスをオンラインで購入していると、メールアドレスを誤って入力。その為、購入した通知も届かず、フレキシブルタイプタイプなので、使用したい日にレイルパスを有効化する必要があるが、その手続きもできないことが判明。

5万円近くも出費したのに、使用したい日に使えない可能性を前にして絶望。親友と話しながら購入したのがすべての間違い。1つのことに集中すべきだった。

何とか問い合わせ窓口のメールアドレスを発見するも、チケットを購入したのが日曜日。2日後の火曜日には使用する予定が入っていたが、問い合わせ窓口の営業は月曜から金曜まで。仮に月曜日にメールが読まれたとして、1日で問題が解決できるものだろうか。

その不安を募らせるように、注文番号も控えていない状態。ダメ元で問い合わせ窓口にメール。対応してくれるまで、どれだけの時間が要するのか全くをもって不明。最悪の場合、レイルパスを買い直すか、火曜日だけ、当日のチケットを窓口で購入するか、プランA、B を頭の中で考える。

なるようにしかならないと開き直っていると、数時間もしないうちにメールの通知。カスタマーサービスのバックオフィスからの連絡。日曜日も稼働している上、迅速な対応に驚かされれる。

メールの内容を確認すると、本文に記載されていたリンクにレイルパスの購入証明があり、無事にチケットにアクセスできるようになった。思わず声を上げて喜ぶ。スイスでも日曜日にカスタマーサービスが機能していることに、スイス人の親友も驚いていた。

自らの不注意が引き起こしたトラブルとは言え、迅速に解決できなかったら、さらなる旅費負担がかさむところだったので、旅行の神様が味方してくれたような気がした。

列車の運休に鉢合わせ

列車が運休となりホームに溢れる乗客

レイルパスが無事に使用できるようになったら、希望した日に利用するため、レイルパスを有効化する。

スイス滞在中に、仕事関係のアポが取れたので、ジュネーブまで列車で向かう。滞在していた親友宅はチューリッヒ郊外で、スイス東部から西部まで列車で移動することに。

午前9時30分から30分だけだったら時間が取れるという先方の都合に合わせるべく、チューリッヒ中央駅を午前5時19分に出発する列車に乗るべく親友宅を午前4時に出発。前日にUberを予約して最寄り駅まで。

スイスでもこんな早朝にUberが稼働していることに驚き。10分ほどの乗車で21.66スイスフラン(=約4,100円) 日本もタクシーは安くはないので、スイスとは言えそれほど驚愕する料金ではなかった。

最寄り駅から始発の電車でチューリッヒ中央駅まで向かう。30分ほどの乗車だが寝過ごさないようにアラームをかけて車内で時折うとうとなりながら過ごす。

寝落ちすることなくチューリッヒ中央駅に到着し、ジュネーブ行きの列車に乗り換える。ここまで予定通り。ここからOlten駅で乗り換えてYverdon-les Bains駅まで進み、さらにそこで乗り換えてジュネーブ駅までたどり着く道のり。

Oltenで2回目の乗り換えを終え、Yverdon – les Bains 駅までの1時間ほどの列車旅。さすがに夜明け前の出発が堪え、眠気に襲われ、念のためアラームかけて眠りにつく。

時間にして数十分ほどだったが、ぐっすり眠れたので頭がすっきり。ここからの悪夢が始まるのを前に、旅の神様が頭が働くようにしてくれたのかもしれない。

Neuchâtel駅に到着した列車は、なかなかその先へ出発しそうな気配がなく、向かい側のホームにはジュネーブ空港行きの列車が停車しており、その列車が先発する模様。

調べてきた経路から外れるのは少し不安だったが、先に到着するのに越したことはないと列車を乗り換える。無事に座席を確保し出発を待つも、なかなか列車が駅を離れる気配がない。

なにやらフランス語のアナウンスが車内に流れるも、残念ながら初級レベルのフランス語能力では、列車がキャンセルされたことくらいしか分からず、代替え案が理解できない。

Neuchâtel駅の電光掲示板

仕方なく列車から降り、元の列車に戻るもこちらも出発する気配がない。ホームでは乗客が駅員に問い詰めているが、すべてフランス語のため、理解できない。他の乗客の動きを観察して、別のホームに移動して別の列車を待つ。その間に、グーグルでリサーチするも、列車の運行状況がリアルタイムで反映されていないため、全く参考にならない。

一旦、Neuchâtel駅の改札まで上がり、列車の運行状況を掲示板で確認するも、運休の表示はなし。しかし、駅員につたないフランス語で尋ねると、電気系統に問題が発生したので、すべての列車の運行が一時ストップしているような旨の説明を受ける。

なんとか事態は飲み込めたものの、解決策となる振り替え輸送などの情報は得られず。ひとまず他の乗客と同じく駅の外へ。何を待っているのか不明だが、乗客の群れで駅前はごった返す。

約束の時間までにジュネーブにたどり着けるのだろうかという不安で一杯になるがどうすることもできない。最悪タクシーでどこかまで向かうことも考えたが、タクシーそのものも見当たらない。カオス状態。

そうこうしているうちに、列車の運行が再開される見込みということで、乗客が一斉に駅前のスペースからホームに再び移動。しかし、数分もしないうちに、再度、列車の運休が告げられ、乗客のいらだちも募り始める。

結局、時間通りにジュネーブに到着できるかもしれないという期待から元の木阿弥状態に。再び何を待っているのか不明なまま、駅前でほかの乗客と待機。

どうやら振り替えのバスが手配されるようだが、いつ到着するとも知れず。結局何分くらいまったのだろうか。中には、大きなスーツケースを抱えた乗客の姿も。きっと彼らはジュネーブ空港に向かい、空の旅が控えているので、藁をもつかむような心境だろう。

代替え輸送のバスが到着するとカオス状態がピークに

ようやく振替輸送のバスの姿が現れると、皆が一斉に我先にとバスに乗り込もうとするため、カオス状態のピークに。あまりに密状態に気分が悪くなっていく。しかし、約束があるので何としてもジュネーブに到着しなければならない。

振替輸送のバス内はすし詰め状態

何とか振替輸送のバスに乗り込むことができたものの、車内は文字通りすし詰め状態でパニックに近い。乗客の中には、ジュネーブ空港に向かうとみられる夫婦と子供1人の家族連れが大きな荷物とともに何とかバスに乗り込もうとしている。

フライトに乗り遅れるわけにはいかないだろうから必死。しかし、そんな個別の事情は汲み取られる気配もなく、誰もが我先にとバスの中へ。人込みをかき分け妻と子供がなんとか乗車し、手荷物の一部も何とかバスの中に運び込めたものの、大きなスーツケース3個を夫が自らとともに運び込もうとするも、それを阻む車内の混雑ぶり。

妻と子供がバスに乗っている上、フライトの予定がある!と懇願するも、その主張も聞き入れてもらえず。結局、夫はスーツケースとともに、後続のバスに回されてしまう。

この事態に妻はパニックになり、泣き出してしまう。心が痛む光景だったのに、それを咎めるような乗客もいて、非常事態に乗客の神経がすり減っているのを感じざるを得なかった。

すし詰めのバスに揺られること1時間弱。Yverdon-les Bains駅になんとか到着。上述の家族連れは、電話で連絡を取り合い、駅で落ち合えるようだが、フライトに間に合ったかは知る由もなかった。

他人様もさることながら、午前9時30分のジュネーブでの約束の時間には間に合いそうもなく、先方にメールを入れる。この日、時間が取れるのはその30分だけということだったので、このままジュネーブまで行くか、いっそのことチューリッヒまで引き返すことも考えた。

どちらにせよ、一連の出来事で心身ともに疲労困憊。ひとまずジュネーブまで行って少し休んでからチューリッヒに帰ろう。結局、予定より2時間遅れでジュネーブに到着。

レイルパスで無料で入館できる美術館をどこか巡ってから戻ろうとも考えたが、疲労のあまり何もする気がしない。

幸い、約束をしていた先方から返信があり、ランチ後に少し時間が取れるかもしれないということで、約束の場所の周辺で待機。

この疲労状態に追い打ちをかけるように、この日のジュネーブの気温は30度を裕に超え、容赦なく照り付ける太陽にさらに体力を奪われる。

なんとついていない日なのだろう。

それでも何とか時間を確保してくれ、予定より短い時間だが、ミーティングをすることができた。「スイスの列車は日本と同じくらい正確な運行なはずなのに、今日にに限って…」と先方も苦笑い。

太陽が照り付けるジュネーブの国連本部前

なんとかジュネーブでの目的も果たせ、予定では美術館巡りか湖のほとりでのんびりランチでもと考えていたが、そんな気分にはならず。

カフェでコーヒーを飲んだらチューリッヒまで引き返す。言うまでもなく、帰りの電車の中は終始、爆睡。

レイルパスの恩恵を享受すべく、チューリッヒでも無料になる美術館巡りでもと当初は目論んでいたが、もはやそんな気力も体力も残されておらず、そのまま親友宅へ直帰。

長い長い列車旅の1日が終わる。トラブルには巻き込まれたものの、無事に面会を済ますことはできた上、やはり、緊急事態になったときに言葉ができないとなかなか対処できないということを身をもって実感。フランス語の学習意欲を掻き立てられた経験となった。

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