暮らすように旅するカーボベルデ#5 カーボベルデ・サル島のグルメ

カーボベルデ

年間を通じて雨のほとんど降らないカーボベルデ・サル島。農作物が育たない土地で人々はどのような食生活を送っているのだろうか?

旅に出発する前、カーボベルデ料理に関する知識や情報はゼロ。これまで生きてきた中でカーボベルデ料理を聞いたこともない。暮らすように旅しながら、現地のグルメに迫る。

名物料理はカシューパ

カーボベルデの名物料理は?と尋ねれば十中八九、カシューパ(Cachupa)との返答が返ってくる。耳慣れない料理だが、レストランの日替わりメニューでも見かけることが多い。

あえて先入観を持たないためにも、事前のリサーチなしで初めてのカーボベルデ名物料理カシューパを注文。運ばれて来たのは、煮込み料理のような一品。

様々な材料が混ざって、うまみが出ている香りが食欲をそそる。スプーンで具材をチェックすると、人参やじゃがいも、玉ねぎに、ひよこ豆、牛肉など。

家庭料理でもあるカシューパは、具材はその時々で色々アレンジできるようだ。ビーチリゾートのカーボベルデのサル島では、日中の気温は汗ばむくらいだが、その中でこの熱いシチューのようなかカシューパを頂く。

気になるその味は、料理が運ばれてきたこきに漂った香りのように、それぞれの具材のうまみが混ざり合い、優しい調和が取れながらも味わいが引き出されている。シチューは時折、物足りなさを感じることもあるが、このカシューパは、肉に加えて豆も入っており、一皿食べ終わるころには、十分にお腹が満たされる。

人生で初めてのカーボベルデ料理との出会いは、好印象を与えてくれた。豆や肉のたんぱく質の量を少し控えめにすれば、日本人にも受け入れられるだろう。

暑いビーチリゾート、漁業が盛んな島国の名物料理がシチューという意外性にも魅かれ、滞在中は、ランチメニューで見かけては、何度か食べることになる。

料理教室で名物料理を学ぶ

料理教室でカシューパを学ぶ

カーボベルデの国民食と言っても過言でないカシューパ。何度か食べているうちに、食べるだけでは満足がいかず、その作り方を知りたくなり、料理教室に参加。

教室は Get your guide で見つけて予約。英語とポルトガル語に対応しており、料理を教えてくれるのは地元の主婦。料金は5,000円ほどで、宿泊先と料理を教えてくれる地元の人の家との送迎付き。

申し込んだ日は、他の参加者がおらず、マンツーマンでみっちり教えてもらえた上、肉か魚のカシューパを選ばせてくれた。レストランで肉入りのカシューパを食べてきたが、魚のカシューパを食べたことがなかったので、後者をリクエスト。

ツアーは時刻通りに民泊前でピックアップをしてくれ、料理教室の会場となる家へ。自己紹介とともに、料理がスタート。2時間ほどで完成させるため、魚の処理と、豆の煮炊きは事前に準備してくれていた。

料理の手順は、まずは野菜をそれぞれ適当な大きさに切っていく。この日は、トマト、玉ねぎ、ジャガイモ、キャベツ、タロイモ、カボチャ、ピーマンを使用。好きな野菜があれば、大体何でも入れてOKのようだ。

次にすり鉢でニンニクを潰し、サフラン、カレースパイス、コショウ、オレガノを加えてペースト状になるまで、すり鉢でトントンと音を立てながらニンニクとスパイスを混ぜ合わせる。ペースト状になったら、下処理をして切っておいた魚に絡めて、味を染み込ませるため、しばらく寝かす。

その間に、フライパンで玉ねぎを飴色になるまで炒める。また、油を引いた鍋に先ほどのペーストの残りを炒めてから、野菜を加える。野菜にある程度、火が通ったら水を加え、最後にペーストを塗り込んで下味をつけた魚と豆を加え、最後に飴色になった玉ねぎを加える。

玉ねぎの使い方は、日本のカレーにも通じるところがあり、カシューパに親近感を覚える。味を調整するために、これまたサル島名産の塩を加えたら後は煮込むだけ。

煮込んでいる間に、料理を教えてくれた方と色々な話で盛り上がる。初めは母親から料理を教わり、料理のコースを取得して知識を深めたという。家では旦那が料理をしないので、「ご飯の準備はまだ私の役割」と苦笑い。

カシューパはアレンジがいくらでも効くので、家庭料理にはピッタリという。カーボベルデ人のディアスポラが世界中にも広がっていることを考慮すれば、国を代表する料理としてカシューパがもう少し認知されてもいいような気がする。

そんなことを話しているうちに、カシューパが煮え立ち完成。

完成したカシューパ

個人的にはあまり濃い味付けは好みではなく、塩の量をかなり抑えたので、マイルドな仕上がりに。それでも、料理を教えてくれた先生は、美味しく出来上がっていると太鼓判を押してくれた。

余ったカシューパは先生の子供たちが早速食べていたが、そのスプーンも進んでいたので、料理としては大成功だったと言えるだろう。名物料理の作り方を学んで、また一歩、カーボベルデに精通した気分になれた。

鮮魚をゲットして自炊

引き揚げられた魚

カーボベルデ滞在中に挑戦したかったことの1つは上述の名物料理を習う事。そしてもう1つは島の近海で獲れる新鮮な魚を買って、料理をすること。

日本の漁と聞けば、早朝に始まり、市場での取引も朝早くに終わってしまう。カーボベルデのサル島では、サンタマリアビーチの桟橋で、漁を終えた船が次々に魚を引き揚げてくる。

早起きが苦手な身にはありがたい、その引き揚げの時間はそれほど早朝ではなく、午前8~9時くらい。桟橋に向かうと溢れんばかりの魚の量。

レストランなどによる大口買いが取引される中、自炊用に1尾、2尾だけ購入するのは少し気が引けるが、観光客でもウェルカムな雰囲気。

自炊用に購入した魚

魚には精通していないので、正直、どんな種類なのか不明だったが、「Bonito Xeréu Azul」と「Bica da Rocha」と思しき2尾を購入。丁度2尾で1キロの重さで 3.5 ユーロ。(=約600円) 暮らすように旅するカーボベルデ#4 カーボベルデ・サル島の物価編で紹介したように、作物が育たないサル島では、野菜果物が輸入に頼るので割高な一方、魚は破格の値段と言っても過言ではない。

桟橋で魚の下処理をしてもらう

当然、魚の下処理は自力ではできないので、その場でお願いする。小口の顧客にも関わらず、快く応じてくれ、手際よく鱗や内臓を取り除いてくれた。

グリル前の魚

購入した時におすすめの食べ方を聞き忘れてしまったので、民泊のキッチンでグリルにしよう。レモンを魚の上に載せて、オーブンに入れるだけ。

グリルされた魚

おそらく、この青魚はフムブリで、もう一方はフエダイのよう。気になるお味は、両方とも鮮度は抜群なため、臭みは一切なし。フエダイの方が美味しいと予想していたが、実際は真逆。グリルでの調理に関しては、ブリの方が美味しく出来上がった。フエダイの方は、グリルではなく、別の料理にした方が、よさそうな印象。

いずれにせよ、カーボベルデで鮮魚を購入して料理するという目的は果たせた。しかし、一度では食べ切れず、民泊のオーナーにお裾分け。すると、後日、お返しにと、同じく桟橋で購入した魚を冷凍保存して解凍し、カルパッチョに仕上げた1品をご馳走になった。

民泊のオーナーのカルパッチョ

鮮度が高い魚ゆえ、生臭さがゼロ。果物と野菜は割高だが、こんな新鮮でおいしい魚が食べられるカーボベルデ人は幸せだ。魚の値段は近年上昇傾向にあるが、サル島ではまだリーズナブルな印象。

島の人達は、魚をよく食べるせいか、体つきも締まって見えるのは気のせいだろうか。少なくとも、肥満が目立つというような社会ではない。

食には困らない島

カフェでサンドウィッチ

国民食カシューパ、近海で獲れる魚と、カーボベルデで滞在する間は、食事には困らない。また、サル島はヨーロッパを中心に、外国人観光客も訪れる一大リゾートなので、ハンバーガー、ピザなどの料理も食べられる。

朝食のクロワッサン

カーボベルデ滞在中の朝ごはんはカフェでクロワッサンやパンオショコラとコーヒー。

エッグタルト

カーボベルデはポルトガルの植民地だったということもあり、エッグタルトもパン屋さんで目にする。カーボベルデの美しい海を眺めながら、グルメはちょっぴりヨーロッパ気分を味わうことも可能というわけだ。

午後の暑い時間帯にはジェラート休憩がマスト

午後の暑い時間帯には、体を冷やすためと自分に言い訳を聞かせて、ジェラートに手が伸びる。物価がそれほど安いという印象を受けないカーボベルデでは、ジェラートは3つの味で5ユーロ(=約850円) 激安ではないが、リーズナブルな値段。

食を通じてローカルな知見を広げるのもよし、リゾートでカーボベルデで過ごしてみたいという場合には、サンタマリア地区ではレストランやカフェの選択肢も多いので、食の心配は無用で旅を楽しめるだろう。

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