旅の目的は千差万別。ショッピングに明け暮れるのもよし、世界遺産を駆け巡るのもよし。以前は、観光名所を慌ただしく訪れる旅が多かった、暮らすように旅するスタイルを取り入れてからは、時折、自然に触れる時間を設けて、ハイキングに出かけるようになった。
イギリス旅と聞いて、すぐにハイキングは思い浮かばないかもしれないが、実は長閑な風景が広がり、自然の中に身を置ける場所が充実している。その中でも、お気に入りの場所のセブン・シスターズとデビルズ・ダイクでハイキングを楽しむ話。
何度でも訪れたくなる絶景・セブン・シスターズ

イギリスでハイキングと言えば、個人的に真っ先に思い浮かぶのはセブンシスターズ。イーストサセックス州にある石灰岩の白い断崖が特徴で、青空と青い海、芝生の緑と共に、風景に彩りを加えてくれ絶景を成す。
人里離れた大自然のイメージを抱かせてくれるが、イギリス南部の街・ブライトンの中心部からはバス1本でアクセスでき、気軽に日帰りトリップを楽しめる。

今回は、Birling Gap 停留所で降り、周辺を散策する。イギリス留学時代、修士論文に行き詰っては、気分転換のハイキングと称して何度も訪れた思い出の場所でもある。絶景が驚くようなアイデアを論文に与えてくれたことは残念ながらなかったが、それでもひと時のリラックスは煮詰まった頭をリフレッシュしてくれるのには最高の時間だった。

この日は、雲一つない快晴とはいかなかったが、それでも雨の降る気配がないだけ、イギリスの天気としては上出来。ブライトン中心部からバスが出発すると、徐々に草原が広がり、イギリスの田舎らしい景色に包まれる。
Birling Gap 停留所に到着したら、帰りのバスの時刻をアプリとともにダブルチェック。ブライトンに戻るバスの運行は、平日午後は2時間に1本の割合になるので注意が必要。
セブン・シスターズは入場料はかからず、思う存分絶景を楽しめる。

まずは海岸まで降りて、垂直にそびえる白亜の絶壁と対峙する。よじ登れそうな気が全くしない、絶望的な傾斜。まるで自然の要塞のようないで立ち。

海岸から引き上げたら、Belle Tout 灯台の方角へ。まさに絶壁に立つ灯台。ここからの灯が船舶との重要なコミュニケーションを果たしていたと思うと、こじんまりとした建物にも特別感を覚える。

現在は、この灯台は宿泊施設として一般に開放されており、寝泊りできるようだ。天気が読めないのがイギリス旅行の難点だが、晴れた日に宿泊できれば、水平線を眺めながら素敵な滞在を過ごせそうだ。

何度も訪れたくなるセブン・シスターズ。絶景もさることながら、その姿をできるだけ自然に近い形で維持しようとしている姿も共感できる。
多くの観光客が訪れる場所ではあるが、安全管理は自己責任。よって、崖のそばには安全柵などは設置されず、崖から数メートル離れることが推奨されているのみ。
SNS用の写真や動画撮影に夢中になって、思わず絶壁に足を踏み外す危険性はあるだろう。それでも、風景の美しさを損ねることなく、安全対策よりも頑として自然の姿のまま景観を保っている。
バス停留所周辺を散策する以外にも、2-3キロ歩けるハイキングルートもあり、時間と体力と相談しながら、セブン・シスターズを思う存分楽しめる。
穴場のデビルズ・ダイク

セブン・シスターズと並んで、ブライトンからバス一本で気軽に向かる場所として、もう1つデビルズ・ダイクが挙げられる。
圧倒的なスケールの白い断崖のセブンシスターズと比較すると、少しインパクトは弱いかもしれない。そのせいか、観光客の数はぐっと減り、地元の人の姿が増える。
それでもイギリスらしい、草原の風景を味わうのには最適な場所。イギリス人の友人とハイキングを計画していたが、この日はあいにくの天気。残念だが、予定はキャンセル。
しかし、日没近くになって、急に空が晴れ渡ってきたので、せっかくだからと友人が車を出してくれてデビルズ・ダイクへ。ハイキングらしいハイキングはできず、少し歩いただけだが、短時間でもこの景色を味わえたのは贅沢な時間。

デビルズ・ダイクのバス停留所近くのカフェで、コーヒーを飲みながら夕暮れを時を過ごす。このまま水平線に沈みゆく夕日を眺めようと思っていると、どこからともなく雨雲が空を一瞬にして覆いつくす。

遠くの方では明らかに雨雲から雨が降り注いでいるのが見える。雨雲に追い付かれる前に、撤収。
イギリス旅では、ロンドンを中心に観光するルートがメジャーではあるが、少し足を伸ばしてみれば、イギリスの自然豊かな風景にも触れられる。その中でも、セブン・シスターズは、何度訪れてもそのスケールに感動し、旅の最中の喧騒から少し離れて、自然の中で過ごせる時間を与えてくれるおすすめの場所。
