暮らすように旅する際に欠かせないと言っても過言ではない民泊を仲介するプラットホームのAirbnb。イギリス旅では、最初の1週間ほどをロンドン郊外の民泊を利用することにしたが、これまでの経験上、指折りの居心地の悪い民泊体験となってしまった話を共有しよう。
入念なスクリーニング、疑心暗鬼は消えず
旅する2週間ほど前に、Airbnbを通して民泊のリサーチを開始。前回、イギリスを訪れた2023年より、宿泊料金が全体的にアップした印象。やはり世界的なインフレの流れは、旅行業界にも及ぶ。
残念ながら予算内で、ロンドン中心部の民泊は見つからず、郊外のタウンハウスと言われる、いわゆる長屋の一室が目に留まった。
オーナーが長屋に暮らしており、住居の一部屋を間借りするタイプの民泊。早速、希望の日付を指定して宿泊のリクエスト。これまで約10年ほどAirbnbを利用してきた経験からすると、ほとんどの場合、すぐにリクエストが承認され、民泊の住所や入室の方法などの情報の共有がされる。
Airbnbの利用者としての評価は、満点の星5ツではないが、それに近いスコアで、家主が残してくれたコメントも好意的なものがほとんど。よって、信用度は高いと自負しているが、今回は事情が異なった。
リクエストに対して、「なぜイギリスに来るのか」「ロンドン滞在中何をするのか」「民泊のルールに目を通し正確に理解した上で了承しているか」等々の質問攻めに遭い、すんなりとリクエストを承認してもらえない。
一応、尋ねられたことに返答すると、今度は「仕事は何をしているのか」「どこからロンドンに来るのか」など、さらに少し込み入った個人情報まで尋ねられる。この時点で拒否すればよかったと後から思ったのだが、他によさそうな民泊が見当たらず、ひとまず質問に返答。
すると、「もう少し質問をしたいが、承認までの期限が設定されているので、今回はこの辺りでやめておく」と、リクエストがようやく了承される。
ロンドン到着が数日後に控える中、チェックイン時間の交渉に出る。前日に宿泊したヒースロー空港近くのホテルを12時にチェックアウトして、2時間もあれば宿泊先まで到着できそうだったので、アーリーチェックインをリクエスト。
すると、基本的にはチェックインは午後4時の一点張り。事情を説明すると、少し折れて午後3時で交渉成立。
宿泊当日、午後3時に民泊に到着。中から現れたおじさんの第一印象は少し気難しそうな雰囲気。
早速、室内に通され、宿泊する部屋と、住居の施設を一通り案内してもらう。オリエンテーションが済んだら、さっさとロンドン中心部に繰り出そうと思ったが、どうやらこの日はバンクホリデーと言われる祝日。
お店も早く閉まってしまうので、翌日以降の食料の買い出しに先に出かけるのがよさそうだ。そんな考えを巡らせていると、家主からお茶のお誘い。打ち解けるためにも一緒にお茶くらい飲むのは悪くない。
湯気の立つ紅茶を飲みながら、イギリスの大学院に留学していたこと、今回の旅の目的などを話すと、おススメの場所や美術館の期間限定の展示会などの情報をシェアしてくれ、少し打ち解けたような雰囲気になった。かと言って、時間が立つのを忘れるくらい会話が盛り上がるほどの相性の良さは正直なところ微塵も感じなかった。
時計の針が午後4時を示したところで、お店が閉まる前に買い物に行くことを告げて、ティータイムを終わらせる。すると、買い物から戻ってきたら鍵を渡すという。すでに本来のチェックイン時間である午後4時を過ぎており、鍵を渡さない理由が不明。何に対する疑心暗鬼なのか。全く信用されていない印象。
鍵を渡せない理由、チェックイン時間を過ぎていると主張することもできたが、あまり相性が良いとは感じなかった相手に対し、下手に申し立てをすれば、この後1週間弱ほどの滞在が気まずくなると考え、一旦は相手の言うことを飲む。
モヤモヤ感は晴れなかったが、それよりもお店が閉まる前に食べ物を確保しなればならない。買い物を終え、鍵がないので、民泊に戻った際には再び呼び鈴を鳴らして室内に通してもらう。
買い物から帰ると、すぐに鍵が手渡された。買い物前に渡せない理由は一体何だったのだろうか。
門限に扉の開閉、ごみの分別への監視
Airbnbの情報には記載されていなかったが、どうやらこの住宅には家主の他、もう1人、部屋を借りている人が住んでいることが判明。その方は、長期の賃貸契約で居住しているという。
その方への配慮という観点からか、室内でのパーティーや夜遅くの帰宅の禁止などがハウスルールとしてAirbnbには記載されていた。
民泊でパーティーをするような性格ではないが、ロンドン滞在中、ミュージカルを観覧する予定があり、夜の部の公演を終えて民泊に戻るころには日付が変わる時間帯になってしまう。
事前に、その旨を伝えて、門限を少し大目に見てもらうように交渉しようとしたら、家主の逆鱗に触れてしまったのか、「門限(Curfew)」という言葉は好きではない!ゲストに門限を課しているつもりはないと少し不満げな表情。実施的には、門限が設置されているような状態だが、議論することは避け、言葉の定義がいかなるものであれ、帰宅するのが遅くなるのを了承してもらう。
ミュージカルそのものは存分に楽しめたが、帰り道は少しでも早く帰れるように気が気でない。列車が運休したらどうしようといった余計な心配まで湧いてくる。
何とか日付が変わる前に無事に帰宅。できるだけ物音を立てず、灯もつけず、携帯のライトを頼りに2階の部屋まで階段を上っていると、ポチっという音とともに、階段の電気が点灯。「おかえり」と家主。
家主なりの気遣いかもしれないが、急に電気が付いたので、心臓が止まるくらいの驚き。何も悪いことはしていないのに、泥棒が逃げ道の途中でサーチライトで照らされたような気分になる。
滞在中、さらに居心地を悪くする家主の行動が続く。朝ごはんを食べるべく、キッチンに入り、食事といってもヨーグルトにフルーツ、紅茶といった簡単な軽食だが、それを準備をしようとすると、いつの間にか家主も台所に姿を現す。
それだけでも少々気まずいのに、「今から冷蔵庫を開けるけれど、一緒に取ってほしいものはある?」と尋ねられる。
食材を冷蔵庫から取り出すくらい、自分でできるのに、その申し出が額面通りに読み取れない。
食事を終えて、後片付けをした際、台拭きが見当たらなかったので、キッチンの引き出しを開けて探すも見つけられず。おまけにその際、引き出しを完全に閉め忘れ、1センチメートルほどの隙間が空いていた。
おおざっぱな性格としては、それくらい空いていても別に何も困らないし、大したことではないと個人的には思う。しかし、この家主は違った。「引き出しが空いていたが何を探していたんだ?」と問い詰められる。さらには、一応、分別してごみを処理したつもりだったが、目の前で、ごみ箱をチェックされ、間違って分別されていたモノを別の場所で家主が移動するのを文字通り見せつけられた。しかも、分別が間違っていると言葉で指摘されずに…。

すべての行動が監視されているようで、3日目にして居心地の悪さがピークに。さらに3日ほど滞在期間が残っていたが、ほかの場所に移ることも考えた。しかし、理想的な場所と価格が見当たらなかった上、途中で移動するのを説明するのも億劫になる。さらに、監視に耐えかねて追い出されたような気分になるのは受け入れられなかった。
キッチンは使用してよいことになっていたが、家主の監視を避けるべく、時間のかかる火を使う調理は避けて、簡単なもので済ませる。
普段はあまり気にならない他の宿泊者の民泊に対するコメントだが、今回だけは、この家主が一体どのような評価を受けているのか、リサーチしてみたくなった。すると、この “監視” と似たようなコメントはなく、概ね、どの宿泊客も家主のホスピタリティを高評価している。まじか?きっと相性が合わなかったのだろう。
チェックアウトの前日。チェックアウト時間は正午で、これは変更できない!と家主から一方的に告げられる。特に、レイトチェックアウトを要求したわけではないのに、アーリーチェックインのリクエストを受けて、家主の方が事前に釘を刺す作戦だったのだろうか。言い争う気にもならず、何時かは定まっていないが、指定された時間までにはチェックアウトをする旨だけ返答して、鍵の返却方法を確認。
チェックアウト当日、朝ごはんを済ませたら、さっさと荷造りをして、指定されたように、鍵をリビングのテーブルの上に置いて、家主の姿が見当たらなかったので、そのまま民泊を後にしようとする。
すると、扉を開けた瞬間、どこからともなく、家主が現れ「もうチェックアウトするの?」と、前日のチェックアウト時間厳守を告げたのと同じ人とは思えない口調で尋ねられた。「電車の時間があるので」と短く言葉を残して宿を去る。
Airbnbは互いの評価をそれぞれのページに残すことができるが、これは双方がコメントを記した場合に限られる。Airbnbからコメントの催促のメールが何度が来たが、家主がコメントしたので、お互いのコメントを残すためにコメントしましょうというものではなく、お互いのコメントのために家主への評価をして下さいというものだった。期限内に、家主がコメントした気配はなかったので、そのまま放置。
家主にも家主なりの言い分があるだろうから、一方的にその名前と所在地をここで明かすのは公平ではないと考え、Airbnbの一つの経験談として、民泊が特定されないように配慮して紹介した。
このブログでこれまでに紹介したAirbnbを巡るトラブルは、ニュージーランドを旅した際の体験談。また、ブラジルでのおばあちゃん家主とのユニークな滞在が経験できた話を紹介してきた。
民泊の宿泊体験を巡っては、ロケーションが希望していたエリアから遠かったり、写真がイメージと違う、掃除が行き届かず清潔でなかったりと、あまり良い思い出として残らないこともある。しかし、今回の相性があまりよくなかった家主との民泊も含めて旅の経験や思い出として積み上げられるものなのだ。




