マレーシアの首都クアラルンプールで過ごす何もしないバカンス。基本はホテルに籠り、ベッドメーキングと夕食の時間に合わせて、街を散策するスタイル。5回目となるマレーシアへの渡航だが、訪問する度に街の開発が進んでいるのが目に見えるように感じられ、経済成長の趨勢が伺える。今回の滞在で散策した主なスポットを紹介する話。
クアラルンプールのランドマークの世代交代!?

マレーシアの首都クアラルンプールのランドマークと言えば、ペトロナスツインタワー マレーシア通でなくても、一度は写真や映像などで目にしたことがある方も多いだろう。
1996年に完成した452メートルのツインタワーは、2棟の巨塔が大都会にそびえ、夜にはライトアップされてより一層輝きを増し、その存在感を見せつけてきた。その圧倒的な知名度を脅かすかのように、2024年にはペトロナスツインタワーの1.5倍の高さの679メートルのWarisan Merdeka Towerが完成。天に向かって伸びていくの姿は、ニューヨークのペンシルタワーを彷彿とさせる。
建物にはパークハイアットホテルが入り、その高さゆえ、クアラルンプールのいたるところから垣間見える。
長くクアラルンプールのランドマークとして君臨したペトロナスツインタワーから、その座を奪い取るような印象を残す。
話題のカフェから人気のストリートフードまで

クアラルンプールの街の中心部はモノレールが通り、公共交通機関がそれなりに整備されている印象を受けるが一方、街歩きとなると、車優先の社会で、歩行者にはあまり優しくない街づくり。
おまけに東南アジアの蒸し暑さで、そもそも歩くことを想定して都市が設計されていないのかもしれない。
少し歩いては汗ばむ体を涼ませるため、カフェでの休憩は必須。今回の旅では103 Coffee というカフェを初めて利用。
近くを散策中にグーグル検索でヒット。桁違いのレビューの数に足が向いた。店内の雰囲気は、マレーシアらしさは全くなく、世界の主要都市のカフェの雰囲気。
コーヒーはエスプレッソが10.9リンギ (=約370円)、フィルターコーヒーに至っては25 ~ 60リンギとなかなかの値段設定。

休日は行列ができそうな気配だが、平日は待ち時間もなくすんなりと店内へ。暑い時に熱い飲み物ということで、アーモンドミルクのフラットホワイトで休憩。
驚くほどのコーヒーの味というわけではないが、店内の雰囲気などを考慮すれば、人気店なのも頷ける。
人気店といえば、クアラルンプールの繁華街 Bukit Bintangでいつも行列が絶えない「Mon Chinese」 足つぼマッサージの帰りに前を通りかかると、2,3人しか並んでいない。
これはチャンス!残念ながらチキンは15分待ちだが、ビーフなら待たずに購入できるという。

揚げたてということもあり、外側のサクっとした歯ごたえの後、中の牛肉からじわっと熱々の肉汁が口の中で広がる。
このジューシーさ、長蛇の列の光景に納得。今回の滞在でようやく超人気のストリートフードを味わうことができた。
アートに触れるバカンス

東南アジアの蒸し暑さは街歩きにはあまり向かない気候。外を少し歩けば、汗ばんで不快になってしまうので、マレーシア人が休日をショッピングモールで涼みながら過ごすにも納得。
買い物やフードコートでの食事には余り興味がそそられないので、涼しい室内でローカルな文化に触れる場所、国立美術館へ。
入場料は無料で、受付でQRコードから入館登録をしたら完了。

館内は狭すぎず、広すぎず、訪問者の数もそれほどいないので、ゆっくりと静かな雰囲気で作品を鑑賞できる。西洋とは異なるテイストの世界観に加え、イスラム教の影響が見える作品もあり、マレーシアの多様な文化に魅せられる。
リトル東京のような雰囲気
かつてはロンドンやパリに三越や高島屋といった日系の百貨店がビジネスを展開していたが、ヨーロッパ市場からは店舗が撤退し、その軸足が成長著しいアジアへと向けられてきた。
マレーシアも例外ではなく、伊勢丹がBukit Bintang地区でその存在感を見せつけて、小売りでは、無印良品やニトリ、ドン・キホーテが目に付く。

もちろん価格は日本より割高にはなるが、日本の商品へのアクセスという点では不便はあまりなさそう。日本人にとってマレーシアが人気の移住先であることが頷ける。
海外駐在でも、これだけ日本の物が揃うなら、日本に近い生活水準を維持しながら、海外生活を満喫出来そう。
そんな考えを巡らせていると、日本でお米の在庫がなく、購入できないというニュースを耳にする。家族に尋ねると、近くのスーパーではまったく販売していないという。

クアラルンプールのドン・キホーテを除くと、日本産の米が2キロ36.90キロ(約1,300円)で山積みになって販売されているではないか。逆輸入ということで、日本の米をマレーシア土産として家族に持って帰ろう。
帰国後、少し皮肉ではあるが、これまでのどのお土産よりも喜ばれたような気がする。
何もしないバカンス中は、がっつりと街歩きをするわけではないが、それでも、少し街に繰り出せば、新たな発見や初めて足を踏み入れる世界に遭遇することができるのが醍醐味。