サンティアゴ巡礼 Day 27 ブリアージョス ~ イリア フラヴィア(24.4㎞)

サンティアゴ巡礼

サンティアゴ巡礼はこのまま順調に進めば、残り2日を残すところとなった。早起きして長距離を歩いて、冷えた白ワインと美味しい物を食べて、早寝という規律正しい生活が終わりに近づくのを惜しむ気持ちより、一刻も早く、熟睡できないドミトリー滞在と早起きから解放され、毎日移動する生活から、少しゆっくりと1つの場所に滞在したいという気持ちが勝った状態。

この日も大勢の巡礼者を回避すべく、ルート選びは慎重に。巡礼アプリは、Pardón までの道のりを推奨しているが、そこに宿泊すると、巡礼者の数が計り知れないような気がしたので、さらに少し進んだイリア フラヴィアまでの 24.4㎞ の道のりまでのラストスパート。

サンティアゴ・デ・コンポステーラまで残り50㎞

街灯に照らされた早朝の巡礼路

ブリアージョスのマイナーな巡礼宿のドミトリーは、2つに区切られた空間の片方ずつに2段ベッドが6台、24人の定員。このうち片方に3人、もう一方に4人の巡礼者しか宿泊していなかったので、静かに休むことができた。夜は嵐のような大雨に見舞われ、朝は誰か他の巡礼者に邪魔されたわけではないが、午前4時30分に目が覚めて二度寝。

ドミトリーで熟睡できない生活から早く解放されたい。あと2日の辛抱だ。

あまり早く出発し過ぎても外は暗いので6時30分過ぎに巡礼宿を後に。ポーランド人の巡礼者と互いの健闘と幸運を祈り合う。静かに過ごすには最適な巡礼宿であった。

まだ街灯が明るく輝く時間だが、道案内となる巡礼の矢印の石塔には、サンティアゴ・デ・コンポステーラまでまでの道のりは残り 50km を切り、49.63㎞ と表示されている。残り2日間で、それぞれ 約25㎞ ずつほど歩けばゴール。そう考えると、心理的に一気に近づいたような錯覚に陥る。そんな高揚感に水を差すかのように、野生のイノシシが目の前を猛スピードで横切っていく。大丈夫だろうか?この巡礼路…。

そんな心配はよそに、狙い通り、Calas de Reis までは他の巡礼者に会うこともなく、静かに歩くことができた。自分自身と向き合う時間を確保するためには、こうした静かに巡礼路を歩けることが大切。

1時間ほどで、少し町並みが発展してきたと思いきや、すでにCalas de Reis に入ったようで、テイクアウト専門のパン屋で菓子パンを2個1.4ユーロで購入し、バックパックの中に忍ばせておく。

異国情緒漂うヤシの木と教会

町の中心部の教会を過ぎると、こちらにも巡礼者、あちらにも巡礼者状態になり、静けさに包まれていた巡礼路とはおさらば。前日のような課外学習の中高生のグループは見かけなかった一方、ツアーでサンティアゴ巡礼を楽しんでいるのか、大人数のシニアのグループの姿が目立つ。

街を抜けると山道へ。背後からきたデンマーク人に追い抜かされる。巡礼旅で追い抜かされるのは、この彼と、ヴィーゴまで一緒に歩いたおばさんの2人だけ。どちらも奇遇にもデンマーク人。2人とも身長が高いという点を考慮しなければならないが、それよりもまず、腕の振り方が他の巡礼者とは一目瞭然。その勢いのまま、競歩のようなスピードで駆け抜けていく。

O Campo村に入る頃には出発から2時間ほど経っていたので、教会の前のベンチで先程購入した菓子パンを食べながら休憩。その間にも、後ろから次々と巡礼者が押し寄せて来る。こうも巡礼者の数が多いと、山道でも気軽に用を足すことができなくなるのも問題点。

吐息が白くなるくらいの気温に、汗ばんだ体は寒さを一層感知する。山道の中で何もないだろうと、せめてベンチのある場所で休憩と考えたて腰を下ろしていたが、この後10分ほどで巡礼者向けのカフェが現れる。ここで、温かい飲み物を飲みながら休憩を取るべきであった。

休憩のタイミングが良かったのか、その後しばらくは、巡礼者の大群を目にすることはなく、巡礼路に静けさが訪れる。

教会ビューのカフェのテラス

1回目の休憩から1時間程しか経っていなかったが、菓子パンを食べただけで、コーヒーは飲んでいないという言い訳をして、San Miguel で再び休憩。カフェラテとオレンジジュースを頂き、疲れた体が蘇る。

巡礼旅初の本降りの雨

休憩でリフレッシュをした Pontecesures に入る頃には、朝からすっきりしなかった空が、どんどん薄暗くなっていき、雨がポツポツ。ここまでの巡礼旅では、濃霧によりポンチョやバックパック用のレインカバーを使用したことはあったが、雨らしい雨はここにきて初めて。それだけ、天気には恵まれていた巡礼ということになる。

レインジャケットを着用して、レインカバーをバックパックにかけて、橋を越えていくとPardón (パルドン)の街に入る。ここは巡礼アプリ Gronze.com が推奨するルートでは、サンティアゴ・デ・コンポステーラに到着する前日に宿泊する地点となっている。

さすがに最終盤では、このおススメ通りいくと、宿には巡礼者が溢れかえっているだろうから、またまた少しひねくれて、少し先のイリア フラヴィアまで目指す。

パルドンの街では、日曜市が開催されているようで、食べ物から衣類、雑貨、生花などの商店が並び、賑わっているが、訪れる人たちが手にする傘が次々に開き始める。

重いバックパックを持ってマーケットをうろうろするのは得策ではない。おまけに降り出した雨の中では特に。その上、日曜日はスーパーが早く閉まるので、宿にチェックインするまでに先に買い出しを済ませるのが賢明。

スーパーでヴィーゴの同じ巡礼宿に滞在していた別の巡礼者と再会。この雨の中、今からサンティアゴ・デ・コンポステーラまで向かうという。この後、さらに5時間も歩くようだ。すごい体力。真似はできそうもない。

買い出しを済ませたら、巡礼宿へ。入り口分からず、Bar で尋ねると、このバーが巡礼宿のレセプションも兼ねている模様。

巡礼宿のドミトリー

巡礼宿はバーの奥のスペースに相部屋があり、2段ベッドが7台、14人が定員のようだ。まだ他の巡礼者の姿は見当たらない。前日に使用されたとみられるタオルの整理など、一部、清掃が行き届いていない場所が目立ったが、巡礼旅も最終盤。大目に見よう。

巡礼宿のスタンプ

巡礼者の集団を避けるためイリア フラヴィアまで歩いたかいもあり、この日、宿には別の巡礼者の宿泊はなく、ドミトリーを独り占め。これで、少しはぐっすり熟睡できるだろう。

ガルシア名物のタコに舌鼓

タコ料理の調理法は茹でるのみ

巡礼宿にチェクイン後、シャワーを浴び、洗濯を済ませていると、天気が回復したので、パルドンの方に戻って日曜市を楽しもう。翌日は、サンティアゴ・デ・コンポステーラに到着する見込みなので、前夜祭のような位置付け。外れの食事を食べるわけにはいかない。

そういう時は、地元の名産かつ、賑わっている店に限る。週末マーケットに出店するテント張りの店舗だが、行列ができるくらいのタコ料理屋さんへ。

店先では、客を引き付けるように、タコが調理している様子が見られる。調理方法は基本、茹でるだけ。茹で上がったら、パプリカのスパイスでシンプルに頂くのがガルシア地方のタコ。タコが新鮮ゆえに、余計な調理や味付けは不要。

茹でられたタコ

日本では主役にならないタコがこれほどまでに全面に出ている。

ワインのコップは陶器

“前夜祭” なので、暑くて喉が渇ききっているわけではないが、白ワインを注文。この地域では、ガラスのグラスではなく、陶器のコップでワインを飲むようだ。熱い緑茶を湯のみで飲むような感覚で、白ワインを楽しむ。

メインのタコ

注文を取ってもらえそうにないくらいの繁忙。店員ごとに担当する座席のエリアが決まっているようで、担当の店員をつかまえて、何とか注文にありつく。待っている間は、白ワインを楽しむ。視線の先には、この日、巡礼路の休憩前後で何度か追い抜かした巡礼者がいたが、目が合って軽く会釈するくらいで、互にテーブルをシェアするような雰囲気にはならず。

そうこうしているうちに、タコが運ばれてきた。見るからにぷりぷりの食感間違いなし。味付けがシンプルなので、あっさりとしていて、ワインが進む。味変を求めて獅子唐も頼む。

獅子唐のグリルとともに

普段なら、獅子唐はバーべキューでもせいぜい1本か2本食べれば十分。しかし、この日は、自己最高記録を更新するかのように、運ばれてきた獅子唐の皿をむさぼるように一本一本食べる。賑やかな店内に、白ワインで酔いが回り始める。

すぐ隣に座っていたスペイン人に、巡礼について尋ねられ、しばらくおしゃべり。タコ、獅子唐、ワイtンボトル1本で28.4ユーロと5,000円近い出費。前夜祭なので仕方ないと自分に言い訳して、夜はスーパーで購入したスープだけで済ませよう。

さすがにボトル1本開けたので、酔いが回り、巡礼宿に戻って昼寝。上述のように、この日は他の巡礼者が現れず、ドミトリーは貸し切り状態。

約1カ月に及ぶサンティアゴ巡礼旅は、翌日がいよいよ最終日。最後まで気を抜かずに、無事にゴールまでたどり着けることを祈りながら、就寝。

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