サンティアゴ巡礼 Day 17 休息日@ポルト

サンティアゴ巡礼

ポルトガルの古都・コインブラで前回の休息日を設けてから5日間、スペイン人たちとの一緒に過ごした巡礼旅を終えてポルトにたどり着き、巡礼旅の中盤から後半に差し掛かるタイミングで再び休息日を取る。

サボった区間を歩き直し

ポルトの地下鉄

7時にセットした目覚ましより少し早く目が覚める。巡礼中は既に歩き始めている時間帯だが、この日はオフ。のんびり過ごす。

前日、近くのスーパーが閉まっていたので朝食の調達ができず、手持ちの紅茶とドライイチジクで軽く腹ごしらえ。慌ただしく歩く支度もせず、巡礼宿の相部屋とは違い、物音がしない静かな個室でまったり。

前日にポルトまでの道のりの最後の区間は、Santo Ovídio からポルト中心部までは地下鉄を利用。歩く巡礼旅を少しずるしてしまった罪悪感に苛まれている。この区間を歩くか、翌日に出発する際に、この地点まで戻って歩くか。後者の場合、1日の歩く距離が必然的に伸びる。

前者は、太陽が朝からガンガンに照っていたら気乗りしないが、この日の朝の天気は曇空。少し体を動かすという観点から歩こう。

民泊の最寄り駅から乗り換えのTrinidad 駅に着くと、通勤ラッシュに遭遇。日が昇る前に巡礼に出発する日常から、人々の日々の生活に久しぶりに触れる。

地下鉄と言っても一部区間はトラムのように地上を走行するので、Santo Ovídio 駅までの車窓を眺めながら、朝ごはんを食べるカフェに目星を付ける。

前日と同じ駅に立っているというのに、荷物と疲労がない状態ではこれほどまでにも景色の見え方が変わるものだろうか。罪悪感を拭い去るため、律儀に Sé 教会に向かって歩き始める。

朝食のカプレーゼサンド

この日の曇空は肌寒さを感じるほどで、ジャケットを羽織ってくるべきだった。2駅ほど歩いたら、車窓から目を付けて置いた Angola Café へ。店名のようなアフリカ感はまったくなく、カプレーゼサンドとカプチーノを注文。合計6.5ユーロ(=約1,100円)。観光客で賑わうポルトの中心部と比較すると、リーズナブルな価格。

カフェを後にしたらそのままSé 教会を目指して直進。ビーチサンダルで1時間少し歩いたが、全く苦にならず。Sé 教会内の案内所で、ポルトから先のルートについて相談。ポルトからは内陸を通るルートと海沿いを通るルートに分岐しており、後者のルートについて様々な情報を教えてもらう。

巡礼の情報を手に入れた後は、3ユーロ―を支払ってSé 教会内を見学。

休息日の束の間の観光

Sé 教会内部

前回、ポルトを訪れた7年前にもSé 教会内部の見学をしたはずだが、中に入っても一向に記憶が蘇ってこない。別の教会と思い違いをしているのだろうか。内部の回廊にあしらわれたアズレーを目にした瞬間に、うっすらとその淡い記憶が蘇る。

Sé 教会の大聖堂

Sé 教会には展望台があり、美しいポルトの街を一望できるスポットとなっているが、この日は曇り空に加えて強風が吹き付ける。ジャケットなしの格好では体の芯まで冷やされるので、早々に撤収。

教会内部で、前日に別れたスペイン人2人組と再会。巡礼者の世界は狭いものだ。さらに、出口ではポルトの手前まで一緒に歩いた別のスペイン人とも遭遇。前日に地下鉄で移動した区間をこの日歩いたと伝えると、このスペイン人は「私は信仰のために巡礼しているわけじゃないから、ちょっとくらい地下鉄で移動しても問題ないと思う」とバッサリ。どうやら彼女は、ポルトの市内ガイドツアーに参加している最中ということで、立ち話も手短に別れを告げる。

ポルト駅の駅舎

次のミッションは両替。サンティアゴ巡礼のポルトガルルートでは、小さな町はクレジットカードが使用できないことが多く、手持ちのユーロは日に日に心細くなっていく。現金で持ってきた米ドルをユーロに両替すべく、ポルト駅舎内の両替所で手続き。

ポルト市街地の美しいアズレーがひと際目を引くCapela das Almas de Santa Catarina

ユーロの現金を手にしたところで、少し気が大きくなり、何でもできそうな錯覚が起きる。ポルトは見所満載の街で、街歩きをしていて飽きないが、あくまでこの日は巡礼の休息日。翌日以降に疲れを残さないためにも、しっかりと休まなければならない。

レトロな雰囲気のMajestic Café

首都リスボンより街がコンパクトな分、歩きやすく観光スポットを巡るのも簡単なのがポルトの魅力。色々巡りたいが束の間の休息日の観光はほどほどにしておこう。

先行きの巡礼旅に栄養と休息でチャージ

ランチメニューの前菜のスープ

観光を切り上げて昼食は自炊か迷ったが、雰囲気のよさそうなローカルな食堂が民泊までの帰り道に現れたので、ランチを頂こう。前菜のスープからメインのイワシ、白ワイン500ml、食後のコーヒーで8ユーロ(=約1,360円)。観光地のポルトではリーズナブル。カード払いもOKで文句なし。

メインのイワシフライ

イワシは揚げられていたので、それほど鮮度は感じなかったが、トマトスープが染みたお米と頂く。お客さんはほとんどが地元の客で、仕事の合間や孫とおじいちゃんといったような様々な客層が、ランチを楽しんでいる。

作業着姿のお客さんも、午後からの仕事はお構いなしと言わんばかり、豪快にビールを飲んでいる。

胃を満たしたら民泊に戻り、昼寝をして体を休める。

民泊の部屋で巡礼記をつける

シエスタから目が覚めたら、部屋の窓際の机で巡礼記をかきながら、翌日以降のルートに思いを巡らせる。朝からの曇り空はまだ続いていたので、そとには出ずに、部屋でゆっくり過ごす。

自炊用の朝食と夕食の買い出し

夕食も外で食べるか迷ったが、さすがに外食続きで胃が疲れ始めていたので、スーパーで夕食と翌日の朝食用の食材を購入。7.5ユーロ(=約1,275円)ポルトガルの物価万歳。

巡礼中の貴重な自炊

サラダにマッシュルームのソテー、ひよこ豆のマリネで軽めの夕食。ランチの際にワインを500ml 飲んだので夜はアルコールは控える。

巡礼中の身分をわきまえて、たくさん観光したいという欲を抑えて、ポルトでの休息日は、のんびりとリラックス。アプリでリスボンからのポルトまで進んできた道のりを眺めては、随分と先まで辿り着いたと誇らしげな気分になった。

きっとこの先も、無事に巡礼路を進み、サンティアゴ・デ・コンポステーラまで到達できるだろうというぼんやりとした自信が休息によって芽生える。ポルトから海沿いを歩く巡礼路にはどんなドラマが待ち受けているのだろうか。

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