屋久島旅 Day1ヤクスギランド

屋久島

屋久島に到着したら、いざ縄文杉へGoと意気込んでいたが、天気予報を確認すると、怪しい雲行き。ということで、縄文杉は天候の回復を待ってからにして、ヤクスギランドへ。正直、屋久島に来るまでは知らなかった場所で、期待値もそれほど高くなかったが、予想以上に充実したハイキングコースな上、屋久島ならではの自然が広がりに、マイナスイオンで癒されながらも、他では見られない風景にアドレナリンが出続けたハイキングの話。

紀元杉の迫力に圧倒

ヤクスギランドは、たまたま目にしたパンフレットで紹介されており、最初は、「~ランド」という名前から、子供向けの施設と注意を払わなかったが、ゲストハウスで同じパンフレットの英語版で「Yakusugi Land」と記載されているのを見て、ひょっとしてこれは子供向けのテーマパークではなく、何か違った施設かもしれないと読み進めていると、格好のハイキングコースであることが判明。

観光協会の方が、ヤクスギランドでのハイキングのついでに紀元杉も見て回ることをお勧めしてくれたので、それも日程に追加。

ヤクスギランドのハイキングのよいところは、まず第一に早起きする必要がない!合庁前を9:20発のバスに乗り込むと、ゲストハウス最寄りのバス停・安房9時28分、ヤクスギランドは10:07着となる。

そのままヤクスギランドでバスを降りて、ハイキングを開始してもよいが、終点の紀元杉まで乗車。

バスは10:27分紀元杉着、10:45分に折り返して紀元杉発、11:05分にヤクスギランド着となる。(時刻表はいずれも2024年3月現在)

1日バス券とヤクスギランド協力金

事前に1日バス券(2,000円)を購入しておくと、乗り降りがスムーズで便利。

バスは、屋久島の港を離れて、島の中腹に向かう道中に差し掛かると、森の中にお邪魔させてもらうような雰囲気が漂う。こんな大自然の中に、立派に整備された道路は、観光客としてはアクセスが便利になるのでありがたいが、環境保全の観点からは少し心苦しくもある。

時折、側溝に衝突するのではないかというくらいの角度で車両の方向転換がされるが、そこはプロの運転手、難なくこなし、車幅が極端に狭まるポイントで対向車が来ても焦ることなく、順番を融通し合う。

停車駅がそれほど多くないので、スケジュール通りバスが進み、ヤクスギランドに到着。10人弱くらいの訪問者が下車。

バスはそのまま先に進む。20分後に紀元杉に到着。折り返しのバス発車まで18分間しかないので、焦燥にかられるが、焦ることなかれ!バス停の目の前に紀元杉。

推定樹齢3,000年の紀元杉

大木というのでは形容すべきではないスケール。ちょっとした塔のようだ。樹皮が作り出す画一的な模様ではない、いくつもの魂と魂がぶつかり交じり合ったような姿に、推定樹齢3,000年という歴史の重さを感じさせられる。すぐそばに立っているだけで、なにか力を分けてくれそうなくらい、エネルギーに満ち溢れている。そうでもない限り、この地で数千年も生き延びることはできないか。

紀元杉は、まさに手の届く距離まで近づくことができるのもポイント。間近で、これほどの大木を見上げると、人間の存在のちっぽけさを思い知らされる。何といっても紀元杉は、その傍まで近づけるのが魅力。

30分から210分まで様々なハイキングコース

ヤクスギランドの地図

ヤクスギランドは、30分から210分まで大きく5つのコースに分類されており、手軽にハイキングを楽しみたい方から、屋久島の自然の奥深くまで感じたい方まで色々な楽しみができる。

明日以降の縄文杉へのウォーミングアップも兼ねて、今回は210分のコースを選択。

スタートしてしばらくは木道や歩道が整備されているので、すいすいと進める。ツアー旅行の中には、最初の30分のコースを歩くだけというのもあるので、誰でも気軽に参加できそうだ。

川の両岸に広がる緑を眺めると、他の山や森とそれほど違わないような印象を受けるが、奥へ奥へと進むにつれて、想像を超えるような木々の世界が待ち受ける。

木道が整備されているいにしえの森のコースから先となる地点、荒川橋を超えると、辺りの様子はがらっと変わり、映画「もののけ姫」のような世界が始まる。

林や森を形成する1本1本の木には、普段それほど注意を払うこともないが、ここではそれぞれの木の姿形に引き込まれる。

時には、植物であるはずの木々が動物の胴体にまで見えてくる。

各ポイントの名前の付いた樹木には、案内の看板が立てられているので、見逃す心配はない。アイコニックな木々以外でも、フォルムがユニークだったり、あるいは緑と茶色、その他の色のコントラストが美しい樹木など、1つ1つに気を取られていては、何時間あってもこの森から抜けられそうにない。

おにぎりランチでエネルギーチャージ

11時10分にスタートしたトレッキングは、40分ほどでやくすぎの森と天文の森コースの分岐点まで到着。小屋のようなスペースがあったのでここで小休憩とお昼ご飯。

前日にゲストハウスで手配したおにぎり弁当。竹皮に包まれているのが、なんとも言えない味わいで、環境にも配慮されたランチ。

お米でエネルギーチャージを済ませたら、最長のハイキングコースとなる天文の森コースへ。時間にはまだ十分に余裕がありそうだ。

小雨で少し霧がかかり、これまで進んで来た道のりとは少し雰囲気が変わり、湿度がより高く感じられるせいか、苔に覆われた樹木が目につくようになる。

樹皮を覆う苔の生命力を吸い取り、エネルギーを倍増させて成長したかのような勢いのある樹木たちが、そのユニークな姿で迎えてくれる。

川の流れのような樹皮

1日でこんなにたくさんの木の写真を撮ることがいままでにあっただろうか。それも同じ木にしても、アングルが異なれば見せる表情は全くことなり、どの位置が最適か頭を悩ませる。川の流れを連想させるような樹皮で覆われた木があったかと思えば、コムデギャルソンのかつての名作“こぶドレス”を彷彿とさせるようなユニークな盛り上がりで、まっすぐに天までそびえ立つ木のイメージを崩すものまで。

こぶのような盛り上がった木

生命の営みを終えた木も、苔にとっては大切な住処となり、別の生命体が引き続きこの森で命を繋いでいる。静かなはずの森なのに、植物のエネルギーが充満しているせいか、気持ちが落ち着くというより、高まる。

雲の合間から少し光が差してきたかと思えば、苔のほかに、キノコも樹皮に宿っている姿が目に入る。生命体が共存する自然界の営み。天文の森コースは、想定通りの時間を要したが、その他のパートは、想定所要時間より早く駆け抜けることができたので、14時に出口まで戻ってくることができた。

11時10分にスタートしたので、約3時間10分、天文の森コースは210分とされているので、想定内の所要時間トレッキングで終了。

縄文杉と比較すると、訪れる観光客の数も少ないので、ハイキングコースが混雑していないのもヤクスギランドのおすすめポイント。

出口までの道のり

もちろんもっと駆け足で巡ることもできたが、早く回ったところで、帰りのバスまではいずれにせよ待たないといけない。入口/出口付近にある森泉と呼ばれる休憩施設で体を休める。さすがに、久しぶりのハイキングだったので、入念にストレッチ。

帰りはヤクスギランド15時15分発のバスに乗って、ゲストハウス近くのバス停である安房まで戻ってくる。偶然、同じゲストハウスの旅人が、バスに乗っており、2人してヤクスギランドが想像以上に印象的なハイキングで、ヤクスギの壮大なスケール感を味わうことができたという思いで一致した。

屋久島といえば、縄文杉が真っ先に挙げられるが、日程に余裕があるならば、ヤクスギランドも是非訪れてみてもらいたい。

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