何でもあり?めちゃくちゃ融通の利くコロンビア

生活

ラテンアメリカでは時間通りに物事がうまくいくことは少なく、コロンビアもその例外ではない。その代わりといっては何だが、こんな融通が利くのかと驚かされる場面に出くわすこともある。これまでに遭遇した出来事の中で記憶に残ったものを記そう。

バスの運転手が鍵の受け渡し

コロンビア南部の都市ポパヤンのバスターミナルで、すでに予約してした便を早めてもらおうと依頼していると、何らや鍵を片手に神妙な面持ちの婦人が割り込んできた。どうやら、帰省で両親の家を訪れていた娘が鍵を忘れていってしまったようだ。そんな出来事は日常茶飯事だろう。

しかし、ここからがコロンビア。なんとその婦人、この鍵を娘のところに届けてほしいと真顔でバスのチケットカウンターで頼み込んでいる。“普通”に考えて無理だろう。バスは宅配便じゃあるまいし。しかし、この“普通”の感覚を捨てなければならない。無理とあきらめていては何も始まらないのだ。

チケットカウンターの職員は、ここでは鍵の受け渡しを引き受けることはできないから、運転手と直接交渉してくれと婦人に告げる。希望の光がともされた。乗客が満員になるまで出発しないバスの中で待機していた運転手に婦人がお願いをかける。世は情け、鍵がないと娘が困るのという婦人の訴えに運転手はあっさりとOKを出した。

実際どうやって鍵を受け渡しするのだろうか。終点のバスターミナルで、その娘が待機しているのだろうかと想像を巡らす。婦人は運転手とワッツアップを交換して連絡手段を確保。

たまたま乗車したバスが運転手の右後ろすぐの席だったため、時折、運転手がワッツアップのメッセージを誰かに送っているのが目に入った。運転に集中して欲しいところだが、彼には鍵の受け渡しミッションがあるのだ。その娘と連絡を取り合っているかは定かではないが…。

数時間バスが走行した後、高速道路の料金所を通過すると、右手に大学の寮のような建物が立ち並んでいた。すると、そのゲートをくぐり抜け、バスに向かってくる1人の学生。荷物も持ってないのに、ここから乗車するのかと思いきや、この学生こそが鍵の主だった。

笑顔でどうもありがとうと運転手から鍵を受け取り、無事にミッション終了。婦人と運転手のやり取りを見ていた限り、特にお金を渡していたそぶりはなかった。なんというこの親切なサービス。少なくとも、受け渡し場所に指定した寮のような施設が、通過するルートの道路沿いにあり、分かりやすかったというのも奏功したかもしれないが、それにしてもこんなことも頼めるのかと驚かされた出来事だった。

バスで移動中にホテルから荷物ピックアップ

Guatapé からメデジンへ戻るバスに乗車した際の出来事。以前のブログでも記録したが、このバスはチケット売り場の長蛇の列から抜け出し、車内で運転手に直接料金を支払うことで乗車が認められた。この時点でも融通の利いた旅だったが、乗客の中に強者が紛れ込んでいた。

その乗客は、若いカップルと娘2人の家族。一見、強者には全くみえない。車内でもまだ幼い子供がぐずるのを2人で交代にあやしている微笑ましい姿。

しかし、何やらある地点を過ぎたあたりからこの父親が、運転手に話しかけ始める。どうやらホテルの前で停車して欲しいと頼んでいるようだ。長距離バスになれば、停留所はもはや意味をなさなくなり、乗客の希望の場所で降りることは可能だ。

この家族も、宿泊しているホテルの近くで下車したいのだろうと想像していた。様子を拝見していると、ホテルが近づいてきたのか、父親が運転手にホテルの場所を詳細に説明している。

幼い子供連れだけあって、荷物も多くあるが母親の方は、下車する準備を一向に始めない。車が停車してから準備に取り掛かるのだろうか。勝手ながらにそんな心配を抱いていると、どうやら下車を希望するホテルの到着した模様。

バスのルートとなる幹線道路の目の前にホテルはあった。バスの扉が開くと勢いよく飛び出していく父親。一方の母親は2人の子供に気を配り、下車する気配は全くない。一体どうなっているんだ?

間もなくすると、ホテルから両手に荷物を抱えた父親が現れ、再びバスに乗り込んできた。どうやら、このホテルに宿泊していたが、チャックアウト後に荷物をホテルに預けたままでGuatapéまで観光に行き、その預けておいた荷物をピックアップしたというわけだ。

運転手がホテルの前で停車してくれなかったらどうなったんだろうと想像を巡らせたが、停車してくれるという確信がこの家族にはあったのだろう。おそらくコロンビア人みんな。少なくともホテルは道路の目の前だったし、荷物を取って戻ってくるまでの時間はほんの数分だった。その隙にトイレに行った運転手の方が戻ってくるのが遅かったくらいだ。

ホテルはチャックアウトしたけど、観光に荷物は持っていきたくない場合、荷物はホテルに保管しておいて、バスで通ったときにピックアップする、新たな融通の利き方を学んだバス旅となった。

チェックイン締め切り、そんなの関係ねぇ!

首都ボゴタへの出張の日程が入り、同僚とともに向かうことになった。在宅勤務日だったので、自宅から空港に向かおうと考えていたが、その同僚がタクシーをシェアして空港まで行こうと提案してくれたので、オフィスで待ち合わせすることに。

飛行機の出発時刻は15時40分。同僚が待ち合わせに指定してきた時刻は14時。空港までの道のりが混雑していなければ30分ほど。朝晩は交通量が多いが、昼間の時間帯なので問題ないだろう。

オフィスでピックアップしなければならない携帯品があったので、少し早めに到着して最後の準備。一緒に旅する同僚のものとみられるキャリーケースがデスクの横に陣取られていたが、肝心の本人が見当たらない。

準備ができた旨メッセージを送ると、今昼ごはんから戻っている道中との返信。オフィスに姿を見せたのは14時過ぎ。タクシーは既に手配済とのことだが、どうやら歯磨きをしたい模様で、歯ブラシを握りしめ化粧室に消えて行った。

歯を磨いてさっぱりしたのか、ご機嫌顔で出発しよう!と張り切る同僚。早速タクシーに乗り込むが、10分もしないうちに渋滞につかまり雲行きが怪しくなる。搭乗開始時刻が14時58分、搭乗締め切り時刻が15時23分。仮に空港までの道のりに1時間を要しても、最終締め切り時刻前までには何とかぎりぎりで到着できるだろうと楽観視していた。

その気持ちを後押しするように、渋滞から抜け出てタクシーはスピードを上げ空港へ急ぐ。

これで楽勝かと思いや、車内で同僚がオンラインチェックインできなかったと言い出す。何度もトライしたけど、技術的な問題のせいなのかどうすることもできなかったと。おまけに、荷物の中に、ハサミなどがあるから荷物を預け入れしたいと。

不安がぬぐい切れたと思えた先行きに、再び黄色信号、それも限りなく赤信号に近い危険シグナルが灯る。薄情だが最悪のケースでは同僚を置き去りにすることも覚悟した。

結局空港に到着したのは15時少し前。チェックインカウンターに向かうも閑散としている。同僚が地上係員に尋ねるも、やはり案の定、チェックイン手続きは締め切り済みとのこと。どうするの?

まだ飛行機が出てないから乗れるはずだとどこまでもポジティブな同僚。なにやら地上係員と話し込み、座席が準備できるか不明だが搭乗口まで進む許可を得たらしい。但し、荷物の預け入れは不可という条件で。

何をどうしたらそうできるのか。セキュリティーチェックの入り口にいた係員に航空券の予約チケットだけを見せ、事情を説明して通過することに成功した同僚。見ているこちらが勝手に心配しているが、本人に焦りは全く感じられない。むしろ余裕すら漂っている。

手荷物検査では当然、ハサミが反応し、その他いくつかの携帯品とともに没収される破目になった。搭乗口に到着したのは搭乗締め切り予定時刻の10分ほど前。しかし、まだ搭乗する飛行機すら到着していない。

そんな状況を見て、ほら見たことかとドヤ顔の同僚。一部携帯品をセキュリティーチェックで没収されたことなどもう忘れているようで、後は無事に座席が確保できるのを待つのみ。

結局、出発時刻は予定より90分ほど後ずれした。これなら荷物も預けられたなと反省の色なしの同僚。個人的な経験から言うと、コロンビアの国内線の飛行機は本当によく遅延する。記憶が定かでない部分はあるにせよ、今まで搭乗した7、8回のうち、定時出発できた便は1便あったかなというくらい。同僚も、飛行機はどうせ遅れるんだからという態度だ。

それにしても、チェックイン時刻が締め切られても飛行機にも搭乗できてしまうコロンビアにはVIVAというほかない。

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