バカンスから見えたモンテネグロという国

コロナによる規制がヨーロッパを中心に解除されていくなか、偶然セルビア人の友人とのメッセージのやりとりをしていると、モンテネグロのビーチでの休暇を提案された。バルカン半島と言えば、旧ユーゴスラビアの紛争が真っ先に思い浮かんで、とてもバカンスを過ごすような行き先ではないような気もしたが、クロアチアのドゥブロブニクをはじめ世界的な観光地もあるくらいなので、友人の助言を素直に受け入れることにした。これでもかというくらい色々な街のお薦めスポットを共有してくれたが、4泊5日の日程なのであちこち街を移動するよりは1つに絞って、Herceg Noviという町でゆっくり滞在することに。短い滞在期間の中から見えてきたモンテネグロという国について語る話。

リーズナブルな物価のリゾート地

友人がモンテネグロをお勧めしてくれた一番の理由は、リゾート地なのに物価がとっても安いからだという。西ヨーロッパのリゾートと比較したらタダみたいなものだという誇張ぶり。

Airbnbの部屋の窓からはオーシャンビュー

旅の計画を進めていくうちに、予約したAirbnbの部屋は、アパートの1部屋を借りることにしたが、街の中心部でオーシャンビューという条件にも関わらず、1泊4,000円ほど。確かにリーズナブルな印象。

カフェでの朝ごはん

旅の印象を最も左右すると言っても過言ではない食事。そのお値段も宿同様にお手頃。朝ごはんにクロワッサンに小さなマフィン、エスプレッソを注文して締めて2.8ユーロ。ヨーロッパの物価を考慮すれば、友人がタダ同然と言っていたのにも納得するが、今住んでいるコロンビアと比較すると随分と割高な印象を受けてしまったというオチ。

スーパーのワインコーナー。ワインもお手頃

ビーチでのバカンスに必須の水確保。ミネラルウォーターは6リットルサイズが1.29ユーロ。ワインは一番安い銘柄は一本3.39ユーロから。タバコはメーカーにより2.5~4.0ユーロなので日本よりは割高な印象。もう1つ少し割高な印象を受けたのがタクシー。残念ながらウーバーは機能していないようで、流しのタクシーは10分ほど走行して5ユーロほどの料金がかかった。しかし、全体としては友人の言葉通り、とてもリーズナブルな物価のリゾート。

点在するビーチに歴史的な街並み

街にはいくつものビーチが点在する

Herceg Noviの見どころは何といってもビーチ。小さい街だけれども、そのなかにいくつものビーチが点在する。場所によってはバーが併設され、音楽がガンガン流れているところもあるが、こじんまりとした静かなビーチもあり好みによって選択できるのが嬉しいポイント。

ビーチは砂浜ではなく小石なので、ビーチベンチを利用するか少し厚めのバスタオルで石のごつごつを和らげると快適に過ごせる。

場所によっては小石のビーチでもないような、港のようなコンクリートの浜にも人々が群がって日光浴を楽しんでいるのが見受けられる。

今回の休暇の最大の目的はビーチで何もせずにのんびり過ごすことだが、Herceg Noviの街には、情緒あふれる旧市街地や要塞など歴史を感じ取れるスポットもある。日中は、日差しの照り付けが厳しいので、午前中か日が傾いた夕暮れに散策するのがおすすめ。

新鮮な野菜や果物が並ぶ市場

曜日によっては旧市街の一画に市場が立つので、地元の人に交じりながら買い物をするのも楽しめる。物価の話に戻ってしまうが、新鮮なマスカットが200グラムほどで2.2ユーロとお値段もお買得。

ヘルツェグ・ノビでの印象

地元の人によれば、以前はロシア人の観光客が一番多かったが、ウクライナでの戦争で観光客の流れにも変化が起き、今は西ヨーロッパからの観光客が増えているということだった。さらに、モンテネグロの国内旅行客もアドリア海の美しいビーチを求めて押し寄せてくるようだ。

ビーチを行き交う人とすれ違うと、まずその高身長に驚かされる。2メートルは裕に越えるような人も、1日4-5人は見かける。女性も180センチを超えている人も珍しくはない。

高身長な人々に加え、喫煙者の多さも目に付いた。ビーチでリラックスしているとどこからともなく漂うタバコの煙。禁煙者にはあまり嬉しくないシチュエーション。ビーチが禁煙になっている様子はなく、ビーチそのものもそれほど広くはないので、人と人の距離が近いゆえに余計に煙が気になった。

観光客を相手にする商売人は多少の英語は話すものの、コミュニケーションとなると少し苦労することが多く、タクシーを利用した際にも行き先がなかなか伝わらず苦労した。その時は、運転手が怪訝そうな表情を見せていたが、いざ目的地まで無事にたどり着くや、陽気な一面が垣間見られ、まるでイタリア人のような印象を残してくれた。

シーフードが絶品の食事

新鮮なシーフードは素材の味が活かされた味付け

旅行中の最大の楽しみでもある食事。モンテネグロの食事は想像もつかなかったが、Herceg Noviは港町ということもあり、新鮮なシーフードメニューが充実している。味付けもオリーブオイルを中心にシンプルで、素材の味を活かしてくれているのも高ポイント。物価でも述べたが、旧市街地の中心部は少しレストランも値が張るが、少し旧市街から離れるとメインディッシュが10ユーロ前後とお手頃。

海を隔てた反対側はイタリアということもあり、ファーストフードのように海沿いにはピザのスライスが並ぶ。ピザ生地はイタリアのように薄く、シーフードを中心としたピザは絶品。さらに、ビーチで火照った体を冷やすべく、ジェラートスタンドもあちらこちらに立ち並ぶ。食事に関しては全く問題なし。むしろリーズナブルに新鮮なシーフードが楽しめる素晴らしい場所。

旧市街なら夜でも安心して歩ける治安

1990年代ユーゴスラビア紛争がまだまだ印象に残るバルカン半島だが、Herceg Noviにいたっては滞在中、治安の心配はまったくといっていいほどいらなかった。

夜でも旧市街を中心に人の流れもあり、食事を終えた後もレストランから宿まで安心して歩いて戻ることが出来た。

ビーチもこじんまりとしているので、貴重品等には最低限の注意を払っておけば十分な印象だった。

友人のお墨付きがあったとはいえ、リーズナブルな物価に美しいビーチ、治安も良好でモンテネグロは穴場のスポットとして記憶に刻まれた。

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