2023年コロンビアを去った際、正直なところ傷心状態に近かった。もう南米で働くことも、暮らすこともないだろうとさえ思っていたのに、また機会があって2024年5月からベネズエラに赴任することに。少しばかりの期待を胸にベネズエラでの生活をスタートさせたところ、まさかのトラブルに見舞われた話。
ガラス戸の脆さを痛感
社宅への入居が済んだ初日。いつもと変わらぬ1日の終わりになるはずだった。シャワーを浴びて、あとは寝るだけ。
残念ながら浴槽は無いので、ガラス戸で仕切られたシャワー室へ。
ガラス戸を開けようとすると、しばらく誰も使用していなかったせいなのか、扉がスムーズに開かない。それほど力を入れた認識はなかったが、扉を開けようと再度トライすると、「メシッ」と鈍い音が化粧室内に響き渡る。
何が起きたのか理解できなかったが、次の瞬間にはガラス戸一面にヒビが入る。ミシミシと静かな音を立てながら、そのヒビはガラス戸一面に徐々に広がっていく。
そのスピードに戸惑いながらも、扉が崩壊してガラスが飛び散ってしまうのではないかという恐怖に駆られ、シャワーを浴びるため、全裸状態だったが、一旦、化粧室から避難。この日は、別の部屋のシャワーを使用することに。
深夜に崩れ落ちたガラス戸
シャワーを浴びて戻ってくると、まだミシミシと鈍い音が響いている。どうすることもできないので、そのまま放置して就寝。
「ガシャーン」という崩壊音で、夜中に目が覚める。一瞬、混乱したが、あのガラス戸が崩れ落ちたに違いない。寝ぼけながらも冷静な判断が脳内を駆け巡り、朝起きてから状況を確認しようと、そのまま2度寝。
翌朝、起床して化粧室に向かうと、予想通り、ガラス扉が崩れ落ちていた。もっと粉々に崩れると予想していたが、ビニールテープの効果もあり、無数のガラスの破片が散らばるのではなく、文字通り真っ二つに畳折られたような状態。勤務先の総務の同僚に事情を説明するために写真を撮って、朝はさすがに時間がないので片付けは帰宅してからにしよう。
どのようにガラス戸を運搬するか?
総務の同僚からは、後片付けを手伝うと言われたが、ものの見事にきれいに真っ二つに崩れ落ちた状態なので、それを持ち運んで、ごみ箱の横のスペースに置いて、後は軽く掃き掃除をすればいいだけなので、手伝いは不要と伝える。
仕事から帰宅後、後片付けに取り掛かる。崩れ落ちたガラス戸を持ち上げてみるが、思いのほか重い。両手で吊り上げて運ぼうとするも、この重さで2階から1階への階段を下りれそうにない。おまけに、持ち上げている間にも、再びメシメシと音が鳴り始める。最悪の事態は、運んでいる途中に崩壊してしまうこと。一旦、両手で吊り上げて運ぶ案は断念。
2つに折り畳まった状態を、もう少し小さく折りたためたら、持ち上げて運べるだろうと考え、ハサミでビニールテープに切れ目を入れていく。
ガラスの破片が少々飛び散るが、まだ長方形の形は維持している。切れ目が入ったら、2つ折りの状態からさらに、もう一度折り畳む。
大きさが小さくなったことで、扉の開いているスペースから引きずりだすようにガラス戸をシャワー室から持ち出す。タオルを下に敷いて、後は両手で持ち上げるのみ。
同じガラス戸なのに、両手で吊り上げた時に感じた重さはいずこへ。1人でも余裕で階段を下りて、ごみ箱のスペースに運搬できた。
巨大なガラス戸の残骸が運び出された後は、床に飛び散ったガラスの破片を丁寧に掃いてかき集めて無事に終了。
ガラス戸は1枚になってしまったが、シャワーが設置されている側の方に固定されている扉なので、水の跳ね返りも遮ってくれる上、扉が1枚なくなったことで、開け閉めをする必要もなくなったと考えれば合理的。
初日からトラブルに見舞われたベネズエラでの新生活。先行きが危ぶまれたが、日本では起こりえないトラブルも、海外生活の醍醐味でもある。