コロンビアの日本食

食事

世界が認める我らの日本食。コロンビア人と話をしていても、日本食への関心の高さが伺える。首都ボゴタから離れた地方都市でも、日本食レストランを目にする機会も多い。しかし、Globalocalifeが長くなるにつれ、海外で生活している際に日本食が恋しくなるということも少なくなってきた。

コロンビアに来て初めて日本食を食べる機会が訪れたのは、Airbnbの家主が友人を家に招待した女子会だった。リビングに携帯の充電器を取りに行くと、オーナーを含め女性4人がワインを片手におしゃべりに花を咲かせている。自己紹介も兼ねて挨拶すると、そのうちの1人の方が「立ってないであなたもそこのソファに座って一緒におしゃべりしましょう」と、お誘いを受ける。

オーナーを含め女性4人。恋に仕事にパンデミック明けの旅行の計画、これはどこかSex and the Cityの世界だ。学生の頃、南アフリカに留学していたときも、そういえばルームメイトは4人とも女性だった。そんな昔の記憶も蘇ってきた。

家主は、コロンビアの日系人に時々寿司のケータリングを依頼するようだ。今夜のテーブルにはワインのお供となる寿司。生魚の握り寿司ではなく、カニカマを中心とした巻き寿司。

日系人が作った寿司のケータリング 手前のトンカツソースが人気

「私たち寿司が大好きなの」「お箸はうまく使えないけど、よく食べる」などなど、日本人を前にヨイショの発言。さては食べ慣れていらっしゃるのだろうと観察していると、「このソースがいいわ」と、用意されたワサビ醤油とトンカツソースのうち、後者の方に寿司を文字通り塗りたぐる。もはや寿司の色味が隠れてしまうほどソースに覆われてしまっている。しかし、これこそが彼女たちがおいしいと感じる食べ方なのだ。

トンカツソースには目もくれないで、ワサビ醤油で一口頂いたが、正直なところ可もなく不可もなく。ただ、コロンビアのマダム会にお寿司がチョイスされたことは、ちょっぴり誇らしい気持ちになった。

■寿司も揚げる

コロンビアで寿司デビューを果たした後、同僚を誘って近くのレストランにランチへ。テラス席もあり、コロナ対策が取られているような場所だったので選択したが、フードコートのように4つのレストランが座席スペースを共有している構造だった。そのうちの1つに日本食レストランが含まれていた。

ケータリングの寿司を試したので、今度はレストランで試す時が来たのかもしれない。ランチメニューは600円ほどで寿司が食べられるようなので迷わず注文。マダム会での寿司の記憶から、それほど期待値は上げていなかったが、運ばれてきた寿司は、見事に衣付きの揚げ寿司。おそらく鮭の皮に衣を付けて、巻きずしの表面を覆っている。中の具材はアボガドとカニカマ。チリでも似たような寿司を食べたことはあったので、もはや揚げ寿司に驚きはない。この衣のサクッとした食感と油っぽさが揚げ物大好きコロンビア人に受け入れられるのだろうか。


サクッとした衣付きの寿司

コロンビアの寿司はどう?と一緒にいた同僚に尋ねられたけど、この類の揚げ寿司はまだ日本には逆輸入されていないと返答しておいた。この寿司ランチメニュー、コンボとなっていて、揚げ寿司のパートナーはチャーハン。まさに米米クラブ。

寿司の”お供” チャーハン

この寿司が正統派かどうかの議論は差し置いて、ランチメニューとしてレストランで日本食が地位を確立しているのは素晴らしいことだ。反対に、日本でコロンビア料理がランチメニューの選択肢に上がるかと聞かれれば、皆無に等しいのが現実だろう。

■ラーメンブームも間近?

ニューヨーク、ロンドン、パリ、世界の主要都市を見渡しても、寿司はすっかり定着し、もはや珍しい食べ物ではなくなってきた。海外で日本食について質問されるときは、まだ寿司が最初に言及されることが多いが、日本食通ならばその次といってもくらいに上げるのがラーメン。

コロンビアでもラーメン屋さんを何軒か見かけたし、専門店でなくてもメニューでラーメンを提供しているレストランもある。

アジア料理が食べたいという友人とともに夕食に出かけると、メニューにラーメンの文字。寿司の調査は1度完了させたので、今度はラーメンの番だ。エビと豚のラーメンを注文。

見た目は悪くないコロンビアのラーメン

湯気を立ち込めながらテーブルには運ばれてきたラーメン。見た目はチャーシューには程遠い、この角煮のような豚肉スライスを除けば悪くはない。肝心のお味はというと。最初にスープを一口。この時点で、ラーメンのスープを準備するのに何時間もかけられている日本のものとの違いを痛感。ただのスープとして味わう分には問題ないのかもしれないが、ラーメンのスープとしては、味わいに深さが全くない。

麺もスパゲティのようで、ゆで加減という概念は存在していないようだ。後は気になったのが、麺と具材の割合。野菜がふんだんに入っており、ちゃんぽんのようだ。お値段は600円ほど。残念ながらこのレストランのラーメンは最初で最後となりそうだ。

ただ、一緒に食事をしたコロンビア人はこの分厚い豚肉を除いては、味もよかったと賞賛。コロンビアにも寿司に続くラーメンの波が押し寄せるのは時間の問題かもしれない。

タイトルとURLをコピーしました