おごられ日和

生活

異国で外国人として生活していると、望まなくてもその存在は目立ち、時折注目を集めることがある。外国人、特にアジア人が少ない地域においては尚更だ。いつもと変わらぬ週末になるはずが、思いのほかおごられ日和となってしまった。

ご近所付き合い

現在暮らすアパートは、古い一軒家を5つのアパートに分けた構造になっている。ここに暮らして半年ほど経ったが、3人の住民はすでに引っ越していった。一番の古株の住民に聞けば、特に外国人の住民は半年から1年くらいで入れ替わるという。

同じ階の向かい側の前住人はフランス人だったが、挨拶をするくらいで、たまにネットが繋がらない時に、階段に設置されたモデムをいじりながら少し話をした程度だった。

その彼女が去った後、コロンビア人の年配夫婦が引っ越ししてきた。引っ越しのご挨拶があるわけでもなく、気配で何となく住民が入れ替わったことに気が付く。どうやら、生活の拠点というより、週末だけこのアパートで過ごしているようだ。何度か共有スペースでお目にかかったときには挨拶をしたが、それ以上は特段何もなく。

ある週末の土曜日、オーガニック青空市場から1週間分の重い荷物を抱えて帰宅すると、迎えのアパートの玄関の扉が風通しのためか全開。中にいた、住人と目が合い、挨拶。市場で買った花を手にしていたので「その花どこでかったの?」から会話が始まり、コーヒー一緒に飲む?とお誘いを受けて、お言葉に甘えることに。

甘味たっぷりのコーヒーをご馳走になり、世間話に花を咲かせる。話が尽きることなく、その間にも、果物や新しく近所にできたパン屋さんのパン・ド・カンパーニュをおすそ分けしてもらう。一気に親睦が深まる。

頂いたパンはめちゃくちゃ美味しかったので、今度買ったときは半分お渡ししよう。コロンビア人はちょっぴりシャイなところもあるが、一旦溶け込むと情が深くなる。

サウナー仲間

ご近所さんと話し込んでいるとすっかりお昼前になってしまった。ジムに設置されているサウナがコロナ禍の間はずっと閉鎖されていたが、3月から週末の10時から13時限定で解放されている。サウナ―としては欠かせない。

話を切り上げてジムへ。先週も見かけたカップルも同じようにサウナを楽しもうとしている。サウナの中で汗を垂らしていると、男性がハーブを蒸気が湧き出るところに置いてもよいかと尋ねてきた。どうやら、ローズマリーやレモングラスとしったハーブを持参してきたようだ。

サウナ内にフレッシュな香りが漂うのであれば全く問題ない。そのハーブは何ですかと尋ねて少し会話を交わす。多分、先週も顔を見合わせていたが、スペイン語が話せない外国人と思われていただろうが、一応会話が成立したので、サウナ―仲間のような親近感が湧いてきた。

すると、サウナのインターバル中に、外の椅子で体を冷やしていると、これ食べる?とバナナケーキをおすそ分けしてくれた。サウナの合間にケーキとは…。ありがたく頂戴すると、サウナ―の絆が生まれた気がした。先週、顔を合わせた時は、全く距離感が縮まる気配すらなかったのに、なんという急展開。

さすがにこちらの仲間には、ご近所さんとパンをシェアするように、ケーキを持ってこようとは思わないけど、次会うときは、ちょっとした世間話でもしよう。

異国の地では、その地域社会に溶け込むというか入り込むのにはハードルが高く感じられることがある。一方で、外国人が少ない地域であれば、その存在が良くも悪くも目立つので、それを利用してどんどん交流を広げていくと、色々ご馳走になり、いろんな輪が広がっていくのが楽しく感じられる。

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